気弱な人が絶対にやってはいけない「たった1つのこと」
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「気弱な人」がうまくいかない2つの理由
今日は、気の弱い人が社会でうまくやっていくための方法についてお話しします。何を隠そう、実は私も気が弱い人間です。「そんなことないだろう」と思われるかもしれませんが、事実です。
気の弱い人は、社会でうまくいかないことが多いと感じています。その理由は大きく二つあります。
一つは、気が強い人にうまく利用されてしまうことです。そしてもう一つは、自分の意見を伝えるのが苦手だという点です。
なかなか本音を言えない
気の弱い人は、安心できる場所や、自分よりさらに気の弱い人しかいない環境でなければ、なかなか本音を言えません。そのため、少し我の強い人や、高圧的な態度で来られると、つい「大丈夫です」「何もありません」と、その場をやり過ごしてしまいます。
あるいは、その瞬間は何も感じていなくても、後になってから「ああ、本当は嫌だったな」と自分の気持ちに気づくこともあります。こうしたことの積み重ねで、自分の置かれている環境がどんどん自分にとって不利益なものになっていってしまうのです。
では、こうした気の弱い人が、世の中でうまくやっていくためにはどうすれば良いのでしょうか。
解決策➊ 即答は禁物!
「時間を稼ぐ」というスキル
私が実践している方法の一つに、「時間を稼ぐ」というものがあります。気の弱い人は、一人になってじっくり考え、自分で結論を出すための時間が必要です。ですから、何かを頼まれたり、意見を求められたりした時に「即答しない」ことが、非常に重要なスキルになります。
私にも昔、こんな経験がありました。医師として病院で当直勤務をしていた時のことです。当直のシフトに入っていた日、どうしても都合が悪くなることがあります。そんな時は、他の医師に交代をお願いするのが通例です。
この業界に入りたての頃、ある先輩から「◯◯(私の本名)君、この日の当直、代わってくれないか」と頼まれました。その日は特に予定もなかったため、私は「いいですよ」と即答してしまったのです。しかし、本当はやりたくありませんでした。ただ、「先輩の依頼は受けるものだ」という思い込みがあったのです。
当然、私は「交代」だと思っていましたから、後日、「先輩、代わりに私のこの日の当直をお願いできますか?」と尋ねました。すると、先輩は「いや、その日はちょっと無理だね」とあっさり断り、話はそれで終わってしまいました。その時、私は「ああ、先輩に言われたからといって、安易に『はい』と答えてはいけないんだ」と痛感しました。
その場で返事をしないように心がける
この経験から、何かを頼まれた時は、その場で返事をしないように心がけるようになりました。気の弱い私でも、少しずつ強くなり、相手によっては「その日は少し忙しいですね」と断れるようにもなりました。しかし、まだ断る勇気が持てないうちは、次のように伝えてみてください。
「スケジュールを確認しますので、少々お待ちいただけますか」
そして、「確認し次第、お返事します」と伝えるのです。私はこれを「ペンディング法」と呼んでいますが、とにかく時間を稼ぐことが大切です。
もし、それすら言う勇気が出なければ、「明日の朝にはお返事します」と、返事の期限を区切って即答するのも良い方法です。そうすれば相手も「わかった、明日の朝だね」と納得してくれます。
「時間稼ぎ」は気弱な人の重要スキル
一晩という時間があれば、自分の本当の気持ち(やりたいのか、やりたくないのか)を確認できますし、もし断るのであれば、どう伝えれば角が立たないかを考える余裕も生まれます。
さらに、時間を稼ぐことにはもう一つメリットがあります。相手がせっかちな人の場合、あなたが返事を保留している間に、他の承諾してくれそうな人を見つけて、そちらに話が移っている可能性があるのです。結果的に「あの件、別の人に決まったから大丈夫だよ」と、自然に流れることもあります。
このように、まず「時間を稼ぐ」ことは、気の弱い人にとって非常に重要なスキルの一つなのです。



