正直すぎる人間に
ビジネスができるのか?

 ウェスタン・シドニー大学のピーター・ジョナサンの調査によると、サイコパスはウソをつく必要がないところでさえウソをつく傾向があるそうです(※1)。したがって、だれにでも当てはまる質問をして、その質問にウソをつくかどうかを判断すれば、サイコパスかどうかをある程度は判断できるのです。

 みなさんは「一度も怒ったことはないか」「人に迷惑をかけたことはあるか」という質問をされたら、どう答えますか。

 人生で一度も怒ったことがない、約束を破ったことがない人などいないと思われますから、「いえ、怒りっぽいほうです」「自分の知らないところでけっこう迷惑をかけているかもしれません」と答えなければならないのに、サイコパスは面接官に良い印象を与えるためなら平気でウソをつきます。

 もし仮に、本当に「人生で一度もウソをついたことがない」「一度も怒ったことがない」「人に迷惑をかけたことがない」という人がいたら、一緒に働きたいですか。むしろ、怖くないですか。ダメなところも含めて、人間に共通する心理が理解できなさそうな印象を受けます。

 ビジネスは、「誠意」や「熱意」、あるいは「人間性」や「信頼」といった定量的でもなければ、合理性とも結びつかないような要素で物事が進むことがよくあります。清濁併せ呑めるような人のほうが人の心をよく知っており、結果として人を惹きつけやすいのではないでしょうか。

 また、「一度も怒ったことがない」というのは熱意のなさ、「人に迷惑をかけたことがない」はチャレンジしたことがないということの裏返しと捉えることができるかもしれません。十把一絡げにしてはいけませんが、そういった深掘りする質問をすることで、採用候補者の本質が見えてくるかもしれません。

 このように、心理学の知見はバイアス(先入観)にするのではなく、「予防的な仮説」として利用すると容認してください。

手を見れば即バレ!
サイコパスの見抜き方

 もうひとつ、面接でサイコパスを見抜く手がかりがあります。