子どもの頃に親から言われた“言葉”が、小さなトゲとなって心の奥に刺さっている。そのことに気づけず、原因がよくわからないまま、息苦しさを抱えている人は意外と多い子どもの頃に親から言われた“言葉”が、小さなトゲとなって心の奥に刺さっている。そのことに気づけず、原因がよくわからないまま、息苦しさを抱えている人は意外と多い(写真はイメージです) Photo:PIXTA

何をやってもダメだ、ちゃんとできない、迷惑ばかりかけている…そんな風に自信が持てず悩んでいる……あなたを苦しめている原因は、子どもの頃に言われた“言葉のトゲ”が抜けていないからかもしれません。ハート・カウンセラー・kokkoさんの著書『心に刺さったままの言葉のトゲをじょうずに抜く本』(青春出版社)から、人生を困難にしてきたその言葉のトゲを見つけ、じょうずに抜く方法を紹介します。(登場する人物の名前などはすべて仮名です)

「ちゃんとできない私ってダメなんです」

 50代後半で、成人した2人のお子さんを持つケイコさんはよく「ちゃんとできていない」という言葉を口にします。

 家の片づけも、家族の食事作りも、もっとちゃんとしなくちゃと思うのに、全然ダメで情けない。そう言う彼女の話をよくよく聞いてみると、彼女は子どもの頃にお母さんからいつも「もっとちゃんとしなさい!」と怒られていたようです。

 ちゃんとしていないとお母さんから怒られる……自身がすでに成人している子の母となっているにもかかわらず、ケイコさんの中にビクビク怯(おび)えている小さい子がいる。しかも、彼女に「ちゃんと!」と言って怒っていたお母さんは10年以上も前に亡くなっているというのに……。

 ケイコさんの心は、子どもの頃に刺さった「ちゃんと!」という“言葉のトゲ”が抜けないまま、いまもなお呪いのようにとらわれて苦しんでいるのです。