仕事を速くこなすためには何をしたらいいのでしょうか?
新刊『EXPERT 一流はいかにして一流になったのか?』(ロジャー・ニーボン著/御立英史訳、ダイヤモンド社)は、あらゆる分野で「一流」へと至るプロセスを体系的に描き出した一冊です。どんな分野であれ、とある9つのプロセスをたどることで、誰だって一流になれる――医者やパイロット、外科医など30名を超える一流への取材・調査を重ねて、その普遍的な過程を明らかにしています。今回、『EXPERT』の著者、ロジャー・ニーボン氏へのインタビューが叶いました。南アフリカで外科医として病院勤務を経験後、イギリスで総合診療医として活躍、現在はロンドンに本部を置く世界有数の理工系名門大学の一つであるインペリアル・カレッジ・ロンドンで外科教育の専門家としてエキスパートについて研究している彼に、生産性が上がる朝の習慣について聞いてみました。(構成/ダイヤモンド社・森遥香)

仕事を速くこなすための朝の習慣
――仕事を速くこなすための朝の習慣があれば教えてください。
ロジャー・ニーボン氏:人によって違うと思いますが、私の場合、毎朝できる限り行っているのは、チェンバロという鍵盤楽器を約30分間演奏することです。
一見すると仕事と関係なさそうですが、実はこれが「仕事を速く進めるための準備運動」になっています。なぜなら、演奏をエネルギーを使い果たす前に切り上げることで、気分を高揚させつつ良い状態を保ったまま仕事に移れるからです。結果として、その後の作業に素早く集中できるのです。
チェンバロ演奏は、指先の細やかな動きを要求する身体的作業と、音楽を解釈する精神的作業が同時に求められます。全く異なる頭の使い方をすることで、心身がリフレッシュされ、仕事に戻ったときに集中力と切り替えのスピードが高まります。
つまり「速さ」は単なるテクニックの問題ではなく、集中力をどう立ち上げるかにかかっているのです。仕事に対する不安を引きずらず、あえて異なる活動に没頭することが、その日の“速い仕事ぶり”につながります。
もちろん、他の人にとってはチェンバロである必要はありません。絵を描くこと、ランニング、ジョギングなど、自分の好きなことを朝に行うことで、同じように仕事のスピードを上げる効果を得られるでしょう。
(本記事は、ロジャー・ニーボン著『EXPERT 一流はいかにして一流になったのか?』のインタビュー記事です。)