原因を100%取り除かないと
また同じミスを繰り返すだけ

 ここで用いられる有名な考え方がパレート(編集部注/ヴィルフレド・パレート。経済学者)の「80対20の法則」です。結果の80%は、20%の原因によって引き起こされていることが多いです。この法則に従い、どの課題に取り組めば最も効果的なのかを考えます。

 もし業績がダウンした問題の課題を抽出するのであれば、この法則を活用して、結果に対して大きな影響をおよぼしたであろう原因を直すことを課題とします。

 では、今回のケースでも「80対20の法則」を活用できるでしょうか?

 結論から言えば、活用できません。ミスの80%(大半)をなくすだけでは満足できないからです。ミスは絶対に起こらないようにしたいです。

 今回のケースでは、担当Cさんが事前に倉庫側に変更内容を共有しなかったことが原因として存在しています。この原因を直すことを課題としてとらえることができるか確認してみましょう。

・もし、担当Cさんから変更内容の共有があればミスは防げたのでしょうか?

 確かに、Cさんから「備考欄に『赤リボン』と書いてある場合は、赤テープの段ボールを送ってほしい」と共有があれば、Aさんは気づけたかもしれません。しかし、それではまたミスが起こる可能性が残っています。

 今回、Aさん、Bさんにもミスの原因となる行動がありましたので、その原因もつぶしておきたいところです。

 そして、Cさんがまた変更内容を共有しなかったとしてもミスが起きないようにしないといけません。すべての原因を直したいです。すなわち、すべての原因を直すことが課題として抽出されます。

全ての原因を潰すかは
業種によって変わる

 このように、課題を抽出する際は、2つのパターンが存在します。

・パターン(1)一番影響が大きい原因を直すことが課題となる(80対20の法則で考える場合)
・パターン(2)すべての原因を直すことが課題となる(すべての原因をつぶしたい場合)

 どこか1つの原因を直して解決すればよいのか?それとも、すべての原因を直すのか?どうか?それは問題の種類によって異なります。業務でのミスの場合には、因果関係の大きい原因を直すだけでは不十分です。