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たとえば仕事でミスをしたとき、「自分のせい」と受け止めるか「ツイてなかった」と済ませるか。その小さな分かれ道が、やがて大きな差を生むという。失敗をどう捉えるかが、成長の軌道を決めるとしたら――あなたは、どちらを選ぶだろうか?※本稿は、ニック・トレントン著、桜田直美訳『「運のいい人」の科学 強運をつかむ最高の習慣』(SBクリエイティブ)の一部を抜粋・編集したものです。

失敗を運のせいにする人を
サルトルとフロイトはどう見た?

「統制の所在」、あるいは「ローカス・オブ・コントロール」とは、行動や評価の原因をどこに求めるか、ということです。

 そして人格心理学の分野では、統制の所在を、「人生で起こることは、自分のコントロールの及ばない外部の力の結果ではなく、すべて自分の責任だ」という信念の強さであると定義しています。

 これは重要な考え方です。なぜなら、「運」という現象と、運をどう解釈するかということは違うと指摘しているからです。

 私たち人間は、純粋に偶然の出来事であっても、そこに何らかの意味を見いだそうとするのです。

 フランス人哲学者のジャン=ポール・サルトルや、オーストリアの心理学者ジークムント・フロイトをはじめ、多くの哲学者や心理学者は、運を信じる人は統制の所在のレベルが低いと考えています。

 つまりそのような人々にとっては、運が個人の責任から逃げる手段になっているということです。

 何かで失敗したときや、満足できない結果になったとき、運のせいにすれば少しは気が軽くなるでしょう。自分が悪かったと考えずにすむからです。