頭にハテナマークを浮かべるビジネスマン写真はイメージです Photo:PIXTA

業務ミスやスケジュール遅れなど、現場でミスが起きてしまったとき、いかに再発を防げばいいのでしょうか。「なぜなぜ分析」という非常に有名な手法がありますが、実際にはうまく使いこなせていないことが多いようです。その根本的原因を明らかにし、現場で起こるミスをなくすための問題解決のコツについて、高松康平氏の著書『会社の問題の9割は「4つの武器」で解決できる』(朝日新聞出版)より、その一部を抜粋・編集してお届けします。

ケーススタディ
顧客からの苦情の増加にどう対処するか?

 本稿では、【ステップ1:問題分解⇒ステップ2:原因分析⇒ステップ3:課題抽出⇒ステップ4:解決策立案】の流れに沿って、実際のビジネスシーンを想定したケーススタディも交えつつ解説していきます。

 ケーススタディの舞台は、架空の会社「メガネフィット」です。メガネフィットで起こる問題に対処しながら、問題解決の手法を学んでいきます。

 メガネフィットは、全国に約100店舗を持つ中堅の眼鏡・コンタクトレンズ店です。

 40年前に創業し、現在の社長は3代目です。創業の地がある東海エリアだけでなく、関東や関西にも進出し、昨年には初の東北出店も実現しました。

店舗数
東海エリア  45店舗
関東エリア  28店舗
関西エリア  19店舗
東北エリア  10店舗

 丁寧な接客とお客様にフィットした眼鏡・コンタクトレンズの提供を強みとしています。自社で製造した眼鏡が、売上の30%を占めます。

 会社のコンセプトは、「あなたにピッタリ!」です。自慢は店舗スタッフの提案力。じっくりとお客様の話を聞き、一番似合う眼鏡を提案し続けてきました。社内資格制度に【メガネコンシェルジュ制度】があります。お客様のご要望や容姿に合わせて、最適な一本を提案できる技術を社内研修で鍛え、その実力に応じて、3級、2級、1級と昇格していきます。

 眼鏡1年保証を標準サービスとして提供しており、その点も評価されています。お客様は子供からシニアまで幅広く、長いお付き合いをしていただけるように、これまでの購入データや検査データは社内に保管されています。

 なお、社長は、業界内での人脈も広く、全国の眼鏡店・コンタクトレンズ店が登録する業界団体である「中小メガネ・コンタクトレンズ全国交流会」の理事も務めています。

 今回の舞台は、メガネフィットのお客様相談室です。

 お客様相談室には、お客様からの声が届きます。メールや電話などを通して届いた会社への要望に対する、全社的な取り組みを推進する役割を担っています。毎月、お客様の声が届きますが、ここ数カ月、特にお叱りの数が多くなっているようです。

 実際にお叱りの声の数を調べてみたところ、これまでは月数件だったものが、ここ2カ月は月20件程度に増えていることがわかりました。そのほとんどが、「お客様への修理・点検完了の案内ができず、待たせてしまっていること」に対する苦情でした。

 会社としては長く商品を使っていただくための1年保証を売りにしている中で、きちんとした対応ができていないということは、お客様との約束を守ることができていないと言えます。早急に対応策を考える必要があります。

 あなたなら、この問題にどのように取り組みますか?