年々ハードルが上がる“MARCH合格”

 しかし、最近の大学受験で、MARCHは非常に難しくなっています。以前ほど合格は簡単なことではなくなっています。中学受験でMARCHを受験しなかった子どもが、6年後公立高校や付属校でない私立高校から、MARCHに確実に合格できる保証はどこにもありません。

 そう考えると、中学受験で付属校に入学するという選択肢は十分にありだと思います。これは人生における一つの戦略です。

 内部進学で大学に上がれない生徒は10%もいないわけですから、確率的にも、中学の時点で権利を確保しておきたいという保護者が一定数いるのは十分に理解できます。

 高校受験の場合も同じです。たとえば、早慶の高校受験は全国から受験生が集まる大学受験に比べれば、圧倒的に簡単です。

 なぜなら1都3県の受験生しか出願しないからです。大学受験では全国から受験生が集まりますが、秋田から慶應義塾高校を受験しに来る人や、北海道から中央大学附属高校を受験する人はほとんどいないでしょう。

 つまり、付属校受験というのは1都3県という限られたエリア、都市部に住んでいる子どもだけが持っているメリットなのです。このメリットを享受することは、置かれている環境を最大限活用する極めて合理的な判断といえるでしょう。

 地方の人からすれば羨ましい教育環境かもしれませんが、その分住居費や生活費、教育費が高いのも厳然たる事実です。それならば、せめて付属校に入学できるメリットを享受しなければ、経済的負担に見合った豊かな子育てはできないということもできます。

 付属校という選択は、首都圏という恵まれた立地条件を活用した戦略的な教育投資であり、地理的優位性を最大限に生かした判断だと言えるのです。