小学生も東大で勉強?“先取り教育”を知っている人と知らない人の圧倒的違い『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク

三田紀房の受験マンガ『ドラゴン桜2』を題材に、現役東大生(文科二類)の土田淳真が教育と受験の今を読み解く連載「ドラゴン桜2で学ぶホンネの教育論」。第88回は、「高校生向けの大学講座」について紹介する。

全国から受けられる“東大の講義”

 東京大学現役合格を目指す早瀬菜緒は、同じく東大志望の同級生・小杉麻里から声をかけられる。東京大学が開講している「高校生と大学生のための金曜特別講座」へ一緒に行かないか、との誘いだった。

 金曜特別講座は、2002年から開講されている東京大学のプログラムで、高校生・大学生を主な対象に東大の教員が専門分野について講義を行うというものだ。近年はオンラインで開講され、全国各地から受講できるようになっている。また「下は小学生から上は80代まで幅広い年齢層」が参加しているという。

 2025年度冬学期のラインアップを見てみると、「脳の情報処理の仕組みを探る ~システム神経科学入門~」や「江戸時代の読書生活――出版は社会と人間に何をもたらしたか」「メディアとダイバーシティ ~DEIから考える新しいリテラシー~」など文理問わずさまざまな分野の講義が行われる。

 東京大学が、大学受験前の児童・生徒を対象に行っているプログラムは他にもある。

 “UTokyoGSC-Next”では、小学校高学年から高校生を対象として、STEAM教育(Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(芸術)、Mathematics(数学)の頭文字を取った、教科横断的な教育手法)や自分の興味分野に応じた研究に伴走してくれる。

 選抜はあるものの、学会に参加したり海外で論文を発表したりと、かなり本格的なところまでサポートしてくれるプログラムだ。

入学後に単位認定される聴講制度も

漫画ドラゴン桜2 12巻P5『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク

 このような高校生向けのプログラムは、東京大学以外でも実施されている。早稲田大学では、正規授業のうち一部を高校生向けに開放する「高校生特別聴講制度」を実施している。

 成績評価も大学生と同じように行われ、一定の点数を得れば単位を取得でき、早稲田大学入学後の履修単位としても使用可能だ。実際にキャンパスにいって授業を受けられるため、授業の内容のみならず、受講している学生の雰囲気なども参考になるだろう。

 広島大学、三重大学、香川大学では、通常の授業の一部を高校生に公開している。そのほかの大学でも、オープンキャンパスなどの機会に、高校生向けに特別授業を実施している大学は多い。

 特に近年は「高大接続(高校教育・大学入試・大学教育の3つを一体的に改革すること)」が重視されていることや、各大学で生徒の獲得競争が加熱していることもあり、大学の取り組みを高校生に体験してもらおうという試みがたくさん行われている。

 大学と高校、1対1の協定も多く、例えば私の母校・桐朋高校は東京慈恵医科大学との高大連携協定を結び、研究室訪問などの活動を行なっている。

 こういったプログラムは大学が一般に向けて募集している場合が多いが、中には高校に直接案内が届くこともある。学校の掲示板をこまめに確認したり、先生に聞いたりすることが肝心だ。

「ちょっといいかも」と思って参加したプログラムが、将来の進路のきっかけになったりすることがある。自分の学びたい専門が決まっている場合は、高校生のうちからその分野の教授と話せるかもしれない。各大学が門戸を開いているうちに参加してみるのがいいだろう。

漫画ドラゴン桜2 12巻P6『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク
漫画ドラゴン桜2 12巻P7『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク