ここには、アメリカが「AIIBに参加するな」と要求し、イギリスは、それを無視したことがはっきり書かれています。これで、他の国々は、「アメリカと世界一仲良しのイギリスがAIIBに入るのなら、私たちも許されるであろう」と判断したのです。

〈米国の緊密な同盟国である英国のこの決定を受け、他国の参加ラッシュが始まった。英国の「抜け駆け」を不満とする独仏伊も相次ぎ参加を表明し、ルクセンブルクとスイスも素早く続いた〉(ロイター2015年3月24日付)

 中国は、大敗北を喫したアメリカを笑いました。

〈中国国営の新華社は論評で「ドイツ、フランス、イタリア、そして主要7カ国(G7)のメンバーで米国の長年の同盟国でもある英国の加盟は、米国が掲げる『反AIIB』の動きに決定的な亀裂を生じさせた」とし、「負け惜しみは米国を孤立させ、偽善的にみせる」と批判した〉(ロイター2015年3月24日付)

 このとき日本は、AIIBへの参加を見送りました。親米諸国群の中で、「ほとんど唯一の国」だったのです。それで、アメリカは、日本を見直し始めます。

オバマともトランプとも
信頼を築いた稀有な政治家

 2015年4月、安倍総理(当時)がアメリカを訪問しました。そして、「希望の同盟」演説を行い、覇権喪失の現実に意気消沈しているアメリカ支配層を激励したのです。安倍氏曰く、

〈(アメリカは)そしてなにものにもかえられない、大切なものを与えてくれた。希望、です。米国が世界に与える最良の資産、それは、昔も、今も、将来も、希望であった、希望である、希望でなくてはなりません。米国国民を代表する皆様。私たちの同盟を、「希望の同盟」と呼びましょう。アメリカと日本、力を合わせ、世界をもっとはるかに良い場所にしていこうではありませんか。希望の同盟――一緒でなら、きっとできます。ありがとうございました〉

「アメリカは、世界の希望だ!」といったのです。「AIIB事件」で、イギリス、ドイツ、フランス等欧州の大国群、オーストラリア、イスラエル、韓国までがアメリカを裏切った。