敵視していた日本と
組むしか選択肢はない
この反応を見ると、アメリカには当時、中国に対する警戒感は全くなく、むしろ「安倍ジャパンのほうが危険だ」と考えていたことが分かります。なぜ?
もちろん、「アメリカも反日統一共同戦線に引き入れなければならない」という、「反日統一共同戦線戦略」と大いに関係があるのでしょう。
こうして、安倍ジャパンは、2013年末から2014年初め、大きな危機に突入しました。
私は、「靖国参拝はいいことだ」と考えますが、安倍総理は、まさに「中国の望み通り」に行動したのです。「罠にかかった」といってもいいでしょう。しかし、安倍政権は、プーチンに救われます。どういうことでしょうか?
ロシアは2014年3月、ウクライナ領クリミアを併合しました。オバマアメリカは、日本と欧州を巻き込んで、「対ロシア制裁」を科したい。
そこで、オバマは、安倍氏と和解せざるを得なくなったのです。プーチンという「巨悪」のおかげで、靖国問題は、忘れ去られました。
AIIB不参加で恩を売り
日米同盟を強固なものに
2015年、今度は「AIIB事件」が起こりました。AIIBは、アジアインフラ投資銀行のこと。中国が主導する、国際金融機関です。アメリカは、親米諸国群に、「AIIBに入るなよ!」と命令していました。
ところが、2015年3月、「特別な関係」といわれる世界一の親米国家イギリスが裏切り、AIIBへの参加を決めた。これに、欧州諸国や、イスラエル、オーストラリア、韓国などが続きました。ロイター2015年3月24日付で、その経緯を見てみましょう。
〈欧州諸国は今月、いずれも先発者利益を得ようとAIIBへの参加を表明。米国の懸念に対抗したかたちとなった。いち早く参加を表明した英国のオズボーン財務相は議会で行った演説で、AIIBが英国にもたらす事業機会を強調した。「われわれは、西側の主要国として初めてAIIBの創設メンバーに加わることを決定した。新たな国際機関の創設の場に存在すべきだと考えたからだ」と述べた。この演説の前には、ルー米財務長官が電話で参加を控えるようオズボーン財務相に求めていた〉