スマホ、ネット、SNS……気が散るものだらけの世界で「本当にやりたいこと」を実現するには? タスクからタスクへと次々と飛び回っては結局何もできない毎日をやめて、「一度に1つの作業」を徹底する「一点集中」の世界へ。18言語で話題の世界的ロングセラーの新装版『一点集中術━━限られた時間で次々とやりたいことを実現できる』。その刊行を記念して、訳者の栗木さつき氏に話をうかがった。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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ポモドーロ・テクニックで集中する
――栗木さんは、集中するために使っているテクニックは何かありますか。
栗木さつき氏(以下、栗木):特別なテクニックは使っていませんが、本書にもあったとおり、休憩と作業の切り替えは意識しています。三浦さん(編集)はいかがですか?
――私は、本当に追い込まれたときはスマホのアプリを使って、「ポモドーロ・テクニック」を実践しています。「25分集中したら5分休む」というのを4セットやったら15~30分休んで、また4セットという方法です。
栗木:それは『一点集中術』の観点からも理にかなった方法ですね。ダラダラ働いていると、つい他のことに手を出してしまったり、どうしても注意散漫になってきますから。「脳は一度に1つのことにしか集中できない」ということは、本書でも繰り返し強調されています。
脳は注意を要するタスクに対処しながら、同時に流れ込んでくる情報を処理することはできない。――『一点集中術』より
これは本当にそのとおりだと思います。先日、レンタカーを運転したとき、最近のナビの機能なのか、ナビが最新ニュースを表示してきたんですよね。「これは脳科学的に絶対にいけない」と思いましたね。運転中に余計な情報が目に入ったら注意散漫になってとても危険です。
集中するには「籠城」する
――仕事のときも、そんなノイズに集中を妨げられることはありますか。
栗木:調べ物とかをしている際に、ネットのニュースやSNSを開いてしまって気が散ることはよくありますね。一度気が散ると、元の訳文に戻るのに結構時間がかかってしまいます。
――本書には、集中を持続するための具体的なテクニックがいろいろと紹介されています。
栗木:はい。「仕事が速い人」って、なんとなく才能で片づけられがちですが、じつはスケジュールや優先順位などを含めて、自分が集中できる環境を整える努力をしているのだと思います。
本書ではたとえば「時間を区切って『籠城』する」という方法がありますよね。会議室など集中できる場所に一定時間こもって、誰にも邪魔されずに一気に取り組むという方法です。
――これは私も追い込みのときによく使っています。静かな環境じゃないと集中できない人には絶対お勧めです。
栗木:「『空白タイム』をつくる」というテクニックも紹介されています。
毎日2回、30分ほど予定を入れない時間を確保して、その時間に最も大事なことに取り組むという方法です。その時間はスケジュールに予定として強制的に入れこんでしまう。
毎日、最低でもその時間は、自分が最優先でやりたいことに取り組めるので、「振り返ってみたら、今日一日何もできなかった!」と後悔する日がなくなるはずです。
(本記事は、デボラ・ザック著『一点集中術━━限られた時間で次々とやりたいことを実現できる』の翻訳者インタビューです)



