税務署は代筆も節税相談もNG! 国税OBが明かす「相続税申告はプロに任せるが合理的」なワケ
相続は誰にでも起こりうること。でも、いざ身内が亡くなると、なにから手をつけていいかわからず、慌ててしまいます。さらに、相続をきっかけに、仲が良かったはずの肉親と争いに発展してしまうことも……。そんなことにならにならないように、『相続のめんどくさいが全部なくなる本』(ダイヤモンド社)の著者で相続の相談実績4000件超の税理士が、身近な人が亡くなった後に訪れる相続のあらゆるゴチャゴチャの解決法を、手取り足取りわかりやすく解説します。本書は、著者(相続専門税理士)、ライター(相続税担当の元国税専門官)、編集者(相続のド素人)の3者による対話形式なので、スラスラ読めて、どんどん分かる!【親は】子に迷惑をかけたくなければ、【子どもは】親が元気なうちに読んでみてください。本書で紹介する5つのポイントを押さえておけば、相続は10割解決します。
※本稿は、『相続のめんどくさいが全部なくなる本』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。

【相続の悲劇】「確定申告と同じでしょ?」は超危険! タイムリミット10カ月で“詰む人”と“助かる人”の決定的な違いPhoto: Adobe Stock

「税務署が何とかしてくれる」は大間違い!
相続税申告が“無理ゲー”な本当の理由

【相続の悲劇】「確定申告と同じでしょ?」は超危険! タイムリミット10カ月で“詰む人”と“助かる人”の決定的な違い『相続専門税理士が教える 相続のめんどくさいが全部なくなる本』(ダイヤモンド社)より イラスト:カツヤマケイコ

確定申告とはワケが違う!
素人には無理ゲー? な相続税申告

国税 相続税の手続きについてお聞きしたいと思います。私は相続税申告書を数多く見てきましたが、申告書を作るのはかなり大変ですよね。

無知 確定申告は、何度か自分でやったことがありますが、相続税の申告は無理ですか?

税務署は助けてくれない!
職員が明かす「代筆できない」現実

国税 私が税務署に勤めていた頃、「税理士に依頼したくないから、相続税の申告書を作るのを手伝ってほしい」という人が、たまにいらっしゃいました。

ただ、税務署の職員が申告書を代筆することはできませんし、そもそも申告書を作るために必要な情報がありません。そのため、結局は自分で何とかしてもらうしかないので、ほとんどの人は考えをあらためて税理士に依頼されていました。

タイムリミットは10カ月!
プロに任せるのが最も合理的なワケ

前田 結局のところ、それが無難だと思います。それに、税務署の人に聞けば、ある程度は教えてもらえますが、基本的には質問に答えるだけですよね?

国税 そうです。節税のアドバイスをすることはありませんし、申告書作成にかかる時間や手間を考えると、プロに任せるのが合理的だと私自身は思います。通常、被相続人が亡くなった日の翌日から10カ月以内なので、それまでに自分で勉強して申告書を作るのは、ほぼ不可能でしょう。

でも、誰に頼む?
相続のプロたちの「守備範囲」

無知 そもそも自分でやるのはめんどうなので、相続に強いプロに任せることになるでしょうね。ただプロに任せるにしても、自分自身である程度の知識をつけておかないといけない気もします。

プロに任せるときのコツはありますか? というか、そもそも相続のプロって誰なのですか?

税金は税理士、書類は行政書士…
餅は餅屋にお任せ

前田 まずは、税理士、行政書士、司法書士、弁護士の守備範囲を押さえておくといいですね。

税金のことは税理士しかサポートできないので、相続税申告が必要なら税理士に依頼します。あとは、遺産分割協議書などの書面作成を依頼するなら行政書士、不動産登記が絡む場合は司法書士、話し合いがこじれたら弁護士、というイメージです。

「一人に全部お任せしたい!」
その願い、叶う?

無知 お願いする立場としては、1人に全部お任せできると楽ですし、金銭面でも不安があるのですが。

前田 気持ちはわかりますが、士業は対応業務が法律で決められており、対応には制限があります。たとえば、遺産分割協議書を有償で作っていいのは弁護士と行政書士だけですから、私のような税理士がやると、弁護士法違反になってしまうのです。

もっとも、相続に強い税理士の場合、ほかの士業と連携していることが多いので、ワンストップで対応してもらえることもあります。

相続税申告は自分だけでやると大変?…プロだから知る“頼れるプロ”を見つけるコツ

POINT 相続のプロに任せるにしても基礎的な知識を学んでおくことが大事

※本稿は、『相続のめんどくさいが全部なくなる本』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。