川によって武家の町と商人の町が分断されている

「猪突猛進じゃ」と松野家のかぶとに付いた猪目のごとく。司之介は、借金してまでウサギビジネスに注ぎ込もうとする。「長者じゃぞー」と言いにくそうだがノリノリの司之介。ちょっといやな予感もする。このままお金持ちになったらドラマが終わってしまう。でも、あまりにも疑いなく、豊かになったことを楽しんでいるので、悪いことを考えたくない。

 久しぶりのごちそうに舌鼓を打つ松野家。でもやっぱりしじみ汁からいただきます。

 見守る蛇(渡辺江里子)や蛙(木村美穂)いわく、トキにとって「家族そろって心から笑っていられる時間を過ごすのは初めてだったかもしれません」。町の縁日に出向いてはしゃいでいると、女性たちが乱暴に橋の向こうに連れ去られていくところに遭遇した。

 松江では、大橋川を挟んで、城下の武家の町と商人や貧しい者の町が分断されていた。

 この橋はまるで、『あしたのジョー』における泪橋のようではないか。人生に疲れた人たちが泪を流しながら橋を渡って住み着いている場所に主人公ジョーは暮らしている。でもいつかここを逆に渡ろうと丹下段平が言うのだ。古い例えで申し訳ない。名作だからゆるして。

 借金のかたに川の向こうの遊郭になみ(さとうほなみ)が売られていく。

「あれ、あのかた……」

 トキは、す巻きにされて連れていかれる人たちのなかに、金成らしき人物を見つけるが、はっきりしない。司之介は気づいていなかったが、ああもういやな予感しかしない。

 その夜、司之介が「ちょっと」と言って出ていったきり帰ってこなかった。

「(司之介の)前世は蛙だったのでしょう」「無事帰る」とフミは笑っていたが、結局その晩帰って来なかった。

 そして、昼間、中州にたたずむ男の姿が……。いやな予感では済まなさそうだ。

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