うまみが凝縮された醤油と味噌
スーパーでも種類が豊富
それは、醤油と味噌。どちらも植物由来で、発酵の力から生まれる“うまみ”の塊だ。少量加えるだけで味に深みが出て、満足感を得ることができる。フランスの大手スーパー・モノプリ(Monoprix)の棚にも、醤油がずらり。ノーマルタイプのものから減塩、甘口、BIO、グルテンフリーのものまで揃い、価格帯は4~5ユーロ。インスタントの味噌汁も、種類が豊富だ。
K-MARTやACE-MARTというパリでチェーン展開するアジア系スーパーでも、味噌や醤油を手に取るフランス人の姿はよく見られ、自宅の冷蔵庫のドアポケットに醤油や味噌が常備されていることは珍しくない。
2023年にはパリ中心部、ルーブル美術館近くに日本食のコンセプトストア「iRASSHAi」がオープンし、話題を呼んでいる。ここはフランス人オーナーが商品をセレクトしており、店内には調味料から乾物、和食器までずらり。
味噌の種類も白味噌、赤味噌、麦味噌など日本各地のものが勢揃いしており、「日本のスーパー以上かも」と感じるほどのバリエーション。醤油やみりん、ごま油は量り売りでも買うことができる。商品のそばにはレシピカードも添えられており、初めて日本の調味料を手にする人でも迷うことがないよう工夫されている。
レストランの黒板にも
「miso」や「soja(醤油)」の文字が並ぶ
家庭の台所だけでなく、レストランでも醤油や味噌を目にする機会は多い。ビストロの黒板にも「miso」や「soja(醤油)」の文字が。野菜のマリネや、メイン料理のソースにも使用される。
料理に使われることはもちろん、デザートとしてもよく使用され、「味噌のアイス」などをフレンチレストランで口にすることがあるのは驚きだ。自家製の味噌を店で作り、使用しているレストランもある。
動物性に頼らず、おいしさを得られる味噌や醤油。ここまでフランスで一般化しているのは、健康志向や環境配慮からだけではない。背景には、フランスのレストランで活躍する日本人シェフの影響があると考えられる。
フランス料理の世界で活躍する日本人シェフは、ここ十年ほどで確実に増えた。