非正規含め3割もの差を
埋めようとしない日本企業
また、労働政策研究・研修機構(JIPT)の調査(2022年10-11月実施)によると、従業員301人以上の大企業442社のうち、男女賃金差異の開示に関し、「現在情報開示を行っていない/今後情報開示を行う予定はない」と回答した企業が23.5%にも上る。
そのため、2024年7月時点でも男女賃金差を開示していない企業は相当数あり、そうした開示に後ろ向きな企業は開示している企業に比べ、賃金差が大きいと考えられる。
実際、より代表制の高い賃金構造基本統計調査(2012年)に基づく推計だと、対象企業の平均は65.4、つまり女性の平均賃金は男性のそれよりも約35%低いことを示している。
組織内の男女賃金差が非正規も合わせると約3割に上るというのは、経済全体の男女賃金差22.2%よりも大きい。それは経済全体の男女賃金差は、企業間と企業内の男女賃金差の和で決まってくるからだ。個々の企業内で男女格差が全くなくても、女性が賃金水準の低い産業や企業に集中していれば、経済全体では男女賃金差が生まれる。
逆に多くの企業内で男女賃金差があっても、女性が比較的賃金水準の高い職種や産業で雇用される傾向があれば、経済全体では男女賃金差が小さくなることもありうる。
日本の場合、企業間で見ると女性は金融業界や不動産業界、公務員といった平均賃金が比較的高い業種に偏って雇用されているため、3割程度ある企業内の男女賃金差が相殺されて、経済全体では2割程度の格差に縮小している。
組織の中で相対的に低い賃金しか得られていないということが、日本の男女賃金格差の特徴であることを理解する必要がある。







