たとえば自分がLINEを送って、すぐに「既読」がつかなかったり、返事が来なかったりする。それだけでイライラしたり、怒ったりする人がいます。

 レスが早いか遅いか――。たったそれだけのことで人間関係がギスギスしてしまうといいます。

 また友だち同士で、朝・昼・晩と休む間もなくチャットをし続ける人たちもいます。互いが「いま、どこで、何をしているか」がわかっていなければ友だちじゃない、とでもいうように。なんと窮屈なことでしょうか。

「SNSチェック」に歯止めをかける

 さらに親子、友人、恋人、仕事関係の人など、さまざまな人間関係でGPSが使われるケースもあります。

「いま、どこにいるか」を確認することで、相手が自分を裏切るようなことをしていないか、チェックしたいのかもしれません。

 こんなふうにSNSを使うと、互いが互いの行動の自由をかなり奪うことになります。そのために「自分を信じられないのか」となって、信頼関係が崩れることさえあります。

 SNS自体が悪いとはいいません。非常に便利なコミュニケーションツールです。ただSNSは、24時間・365日、いつでもつながれるものだからこそ、その密な交流からあえて離れていく力が求められるのです。

 この「離れる力」を養わないと、ずっとSNSに張り付いているうちに今日が、明日が、一生が終わってしまう、なんてことにもなりかねないのです。

 このように、片時も休まず監視する・される社会は、人間関係の距離を縮めるようでいて、そうはなりません。

 逆に、人間関係を壊しかねないものです。生きづらくなるだけだということを頭に入れておきましょう。