物価対策について5人の候補の政策はひとつの対立軸を形成しています。賃上げ派と給付派に二分されるのです。林芳正候補、小泉進次郎候補、茂木敏充候補の3人は賃上げ派、高市早苗候補と小林鷹之候補は給付派の主張です(以下、5人の肩書については「候補」で統一)。

賃上げ派の中でも一番方針が明確なのは林候補です。物価を上回る賃金上昇を定着させることで、実質賃金1%程度の上昇を目指す一方で、消費税減税には消極的です。
一方で給付派として主張が明確なのは高市候補です。給付付き税額控除という形で税制と給付の組み合わせで低所得者層を直接支援したいと主張します。
この両候補の主張が対立軸の中では両極で対立していて、他の3人は若干ですが中間に寄った位置づけになります。
ではその5人の政策をどう採点するかですが、ここでは政策の効力と実行されるかどうかのふたつの尺度で採点してみたいと思います。採点順は直近での世論調査の支持率順とさせていただきます。
まずは世論調査一位の小泉候補です。物価高の即時対応として補正予算案提出によって速やかな経済対策を講じること、賃上げ重視として物価高を上回る実質賃金上昇を目指すことを主張しています。一方で減税要望に配慮する形で所得税の基礎控除引き上げを「検討する」こと、ガソリン税の暫定税率廃止に向け協議を「加速する」ことを掲げています。
主張は賃上げ方向に向いているのですが、微妙に主張が総花的というか反対方向も向いている点と、補正予算提出の中身が何なのかがわからないことから、政策の効果を評価しづらい難点があります。補正予算とは一般的には各業界に対しての補助金のばらまきです。
ステマによる世論誘導の問題もあり、実行面で発言を額面通りに受け取ることができない分の減点も含めて80点と評価します。これを基準としましょう。
2番目の候補として高市候補の物価高対策を見てみます。給付付き税額控除の制度を設計して実施するという主張と、ガソリン税暫定税率の廃止という主張が物価高対策の柱ですので、政策に具体性があると感じました。石破首相がやらなかったことを「やる」と主張する点は評価できます。