
イスラエルに対して
高まる国際的非難
池上 国連総会で9月12日、パレスチナとイスラエルの2国家共存による和平実現を図る「ニューヨーク宣言」を支持する決議案が賛成多数で可決されました。
増田 この宣言では、「2023年10月7日にハマスが民間人に対して行った攻撃」を非難し、ハマスをガザの指導部から排除することも盛り込まれています。それでも米国はニューヨークで開かれる国連総会への出席を予定している、パレスチナ自治政府のアッバス議長のビザ申請を認めませんでした。
池上 年に1度の国連総会には、1974年以降、パレスチナもオブザーバーとしての資格を持ち、参加してきたのにもかかわらず、です。
ただ、アッバス氏は05年の選挙で議長に選ばれていますが、4年の任期を終えても、ハマスとの対立や治安の悪化、イスラエルからの弾圧などを理由に選挙を行わず、議長の座にとどまり続けています。議会選挙もハマスが多数派を占めて以降行われておらず、議会も開かれていません。アッバス氏はハマスに「武器を置き、人質を解放しろ」と要請していますが、議会にハマスの行動を制限する力はありません。
ガザでジェノサイドが
起きているのか
増田 そうした点を考慮すれば、「パレスチナは国家の体を成していない」としてパレスチナの国家承認に反対するイスラエルの主張に分があるともいえます。
ただし、イスラエルはパレスチナのガザで起きつつある飢餓や子どもへの被害も「ハマスのプロパガンダである」と主張していますが、現地ではジャーナリストや救急隊員も殺害されています。イスラエルから見ればいずれも「ハマスとつながっている人物だ」ということになるのですが、国際的非難は高まっています。
池上 明らかに国際法違反ですからね。