顧客を怒らせる8つの典型パターンと発生しやすい場面

(1)無関心・形式的な応対
「いらっしゃいませ」とは言うものの、視線は書類やパソコンの画面に落ちたまま。話しかけても相槌だけ、感情がまったく伝わってこない……そんな場面に出くわしたことはないだろうか。

 顧客はサービスの中身だけでなく、「自分がどう扱われているか」で印象を決める。特に役所や大規模チェーン、繁忙時の窓口など、処理件数を優先する現場で起こりやすい。

(2)責任回避・たらい回し
「その件でしたら別の窓口で承っております」「こちらでは判断できかねます」

 そうやって何度もカスタマーセンターや担当者の間をたらい回しにされるほど、顧客を疲弊させるものはない。顧客は「問題を解決したい」だけなのに、内部の都合で余計な動きを強いられる。しかも同じ説明を何度も繰り返すことになり、怒りや不信感が倍増する。

 行政窓口や大企業のサポートセンターなど、縦割り組織で権限が限定されている現場ほどこのパターンが出やすい。

 なお、対面サービスではないが、サブスクリプション型のサービスやECサイトなどで、解約ボタンや相談の連絡先を巧妙にサイトの奥深く埋め込んでいるウェブサイトにもイライラさせられる。購入プロセスの抜群のわかりやすさとあまりにも対照的である。

(3)過剰な専門用語・上から目線
 聞き慣れない専門用語を当たり前のように連発されると、多くの顧客は一気に理解をあきらめ、同時に「置き去りにされた」という屈辱感を覚える。特に金融商品や保険の説明、医療・健康相談、ITサポートなど、知識格差が大きい領域で顕著だ。

 専門知識を持つ側に悪気はなくても、説明の仕方ひとつで顧客の心理的距離は大きく変わる。

(4) 相手の理解度を無視した説明
 (3)と似ているが「ではご説明します」と言った瞬間、マシンガンのように早口で一方的に説明される。顧客が理解しているかどうかお構いなし。医療や健康関連サービス、保険・金融商品の説明、IT導入コンサルなど、説明量が多く時間が限られる現場ほどこのパターンが起きる。

 説明する側は「義務を果たした」と思っているが、顧客は「置き去りにされた」と感じる。

 専門性の高い内容ではなかったり、入口で受けた説明と同じことを、また窓口で再度聞かされたりするなど、わかりきったことを一からマニュアル通り、説明するパターンもあり、これは逆の意味で相手の理解度を無視した説明である。だから、不信感やクレームが生まれやすい。