「しっかり対応」と「ダラダラ対応」
最近のサービス業を見ていると、接客の質が極端に二極化していることに気づく。
一方には、顧客に寄り添う教育を徹底し、笑顔・確認・説明の順序・フィードバックまでしっかりしている店舗や企業がある。信頼感が生まれ、「顧客の怒りを招きにくい」空気ができている。
もう一方で、「とりあえずマニュアルをこなしているだけ」「誰にでも同じことを機械的に言っているだけ」という店舗や窓口がある。ここでは、ささいなことで顧客が爆発しやすい。顧客対応が「処理」になっており、現場の人員不足や教育不足も背景にある。
時間が限られ、説明義務が重く、専門性が高い領域。たとえば公共サービス、金融・保険、教育や医療、ITなどでは、「早口で一方的」「専門用語」「誤案内」という三重苦が発生しやすい構造がある。
利用者としては「担当者も大変だろうな」と理解はするものの、不適切な対応をとられると(それも再三)さすがに頭に来る。SNSなどで悪態をつく投稿を見ると「それは言い過すぎでは」とも思う半面、憤り自体はもっともだと思うことも多い。
ただし、こうした「顧客の怒りを招く対応」の大部分は、AIの活用でかなり減らせるはずだ。
AIの強みは、最新情報を一貫した形でかつ個人に合わせて即座に提示できることだ。マニュアルの変更や制度改定を自動で反映し、「よくある質問」や過去事例を横断して整理できる。
しかも、顧客の理解度に合わせて説明の難易度やスピードを調整することも可能だ(もちろん、しっかりと作り込むことが前提ではある)。
少なくとも私は、接客や窓口業務での「中途半端な人間対応」よりも、むしろ「AIによる確実な説明+ベテランによる例外・感情フォロー」の方がよほど良い。
AIを使って個々の顧客にとって必要な説明をし、そこでわからないことや例外があればベテラン職員にサポートしてもらう。これだけで「説明が間違っている」「早口で理解度を無視している」という大きな不満要因がほぼなくなるだろう。
説明の正確さ・スピード・わかりやすさが担保され、利用者は落ち着いて質問できる。スタッフは「例外対応」と「人間的ケア」に集中できる。