書籍販売のみだった時代は、掲載軒数をむやみに増やしても印刷コストがかかるだけで、そこまで売り上げや利益に寄与できるわけではない。しかし、公式サイトがメインとなるにつれ、あまりコストをかけずに多くの店を掲載できる。むしろ公式サイトに掲載店が少ないと寂しいだけに、軒数は多い方が好ましい。ただ、質を担保する必要があるので、星以外の店を増やす方向として、ビブグルマンやセレクテッドレストランが機能しているのだ。

最高ランクの三つ星店ってどこ!?
 三つ星店は「ミシュランガイド東京2008」で8軒だったのが増え続け、「ミシュランガイド東京・横浜・湘南2012」の16軒(東京のみ)でピークを迎える。以降は入れ替わりながら微増減を繰り返し、「ミシュランガイド東京2021」で12軒となり今に至る。

「ミシュランガイド東京2008」の三つ星は、日本料理の「かんだ」「小十」「濱田家」、フランス料理「カンテサンス」「ジョエル・ロブション」「ロオジエ」、鮨「すきやばし次郎」「鮨 水谷」の8軒だった。その中で「かんだ」「カンテサンス」「ジョエル・ロブション」が「同2026」まで三つ星を堅持している。

 料理カテゴリー別に考察すると、フランス料理は当初の3軒から増え、現在は「レフェルヴェソンス」と「セザン」を加えた5軒。鮨は入れ替わりが激しく、「すきやばし次郎」「鮨さいとう」「よしたけ」などが外れ、「すきやばし次郎」で修業した「青空」の1店舗のみとなっている。これは、インバウンド需要も相まって、ほぼカウンターのみの限られた席で予約を取ることが非常に困難となっており、匿名で予約するミシュランガイドの訪問視察ができなくなっているからだ。

 また、中国料理の三つ星は「茶禅華」が掲載されているが、イタリア料理ではいまだに三つ星が誕生していない。この点、ミシュランガイドは日本において中国料理やイタリア料理に対する評価が厳しいといわれている。一方、フォーシーズンズホテル丸の内 東京の「セザン」が「ミシュランガイド東京2025」で三つ星になった。日本においてホテルのレストランに厳しい傾向があっただけに、大きな快挙だ。