完ぺきにやることよりも、「気持ちがいいことをする」を軸に暮らしを組み立てていくことが、人生の豊かさにつながっていくのではないでしょうか。

“秒で取り出せる収納”で
モノを探す時間とオサラバ

 いそがしい人にとって、心からムダな時間と感じるのは、モノを探す時間。出かけようとしたら、スマホがない、鍵がない、ハサミを使おうとしたら、いつも置いている場所にない、久しぶりにつけようとしたアクセサリーが見つからないなど、なにかひとつ、見つからないだけでイライラするものです。

 昔、インテリア関連の本を書いている友人に「カテゴリー別に仕分けして整理整頓しているはずなのに、1日1回はモノを探しているような気がする…」と嘆いたところ、「それは、モノを置いている場所がよくないから」と言われたことがありました。

「モノの置き場所を決めて、そこに収納するだけではダメ。自分の行動パターンに沿って、すぐに取り出せる場所であることが大事。ずぼらな人でも“秒で取り出せる収納”の流れをつくれば、モノを探すことはなくなるわよ」

 なるほど、空きスペースになんとなく置いても、使用するときに使い心地が悪ければ、その場所は定位置にならず、いつまでもモノが散らかってしまうわけです。

 友人曰く、モノを探す要因は「なんとなくモノを放置する」「なんとなく片づけて、どこに置いたかわからなくなる」の2つ。だから、「モノの適切な置き場所を決める」「出したら、かならずもとの場所にしまう」だけで、解決するのだとか。

 私は「秒で取り出す収納」を心がけてから、モノを探すことが劇的に減りました。

 たとえば「帰宅したら、そのまま鍵を玄関のキーボックスに」「毎朝使う食器は、まとめていちばん手前に」「仕事で使う頻度の高いペン類、付箋などはしまわず、デスク上のトレーに」「帽子やスカーフは、コーディネートをする全面鏡のそばの棚に」という具合。使う頻度の高いものから、近くに置くのが鉄則。

 自分の行動パターンを考えて「つぎに使うときにすぐに出せる場所に、しまう」という習慣は、たいへんなようですが、すぐに定着し、無意識にできるようになってきます。そんな小さなひと手間が、心地よさや暮らしやすさをつくっていくのだと感じるのです。