一流の人の習慣は、意外にも「毎食後の歯磨き」から始まるのかもしれない。小さな行動の積み重ねは、時間の使い方を変え、生活全体を整えていく。怠惰を断ち切る第一歩は、思いのほか小さな「歯ブラシ」から始まるのだ。そんなあなたにおすすめなのが、日韓累計40万部を突破したベストセラー『人生は「気分」が10割 最高の一日が一生続く106の習慣』(キム・ダスル著、岡崎暢子訳)だ。本記事では、ライターの有山千春氏に、「人生を好転させる小さな習慣」についてご寄稿いただいた。(企画:ダイヤモンド社書籍編集局)
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一流の習慣は「毎食後の歯磨き」から始まる
小学6年生の息子が、マウスピース矯正を始めた。
毎食前にマウスピースを外し、洗い、ごはんを食べ、すぐに歯を磨き――すぐにではなくてもいいかもしれないけれど、なにせクリニックに「1日20時間装着しないと効果がない」と脅されている。
装着したら30分間チューイーを噛んで歯になじませる。おやつやジュースを飲むとき前にも、いちいち外して、歯を磨いてから再装着しなくてはならない。
歯科医の説明に、「そんなこと、12歳の子どもにできるわけがない」と思った。なにせ6年間、学校の面談時に担任教師から「行動がワンテンポ遅れている」「チャイムが鳴ったあと、友達に言われてようやく次の授業の準備をし始める」と言われ続けた息子である。
「やることがたくさんあるマウスピース矯正ではなく、ワイヤー矯正のほうが息子に合っているのでは?」と夫に相談すると、ワイヤー矯正経験者の夫は「あれはとても痛いし、口内炎が頻繁にできる息子にはやらせたくない」と反対した。
息子も「がんばるから。できるから。痛くないほうがいい」とあとに続く。
信じられない。いままでの生活態度を見て、「じゃあマウスピース矯正にしよっか」とすんなり快諾できるわけがなかった。
でも、ワイヤー矯正を痛がって集中力が低下したり食事を楽しめなくなるのはかわいそうだ。苦渋の決断で、マウスピース矯正を選択した。
初日、息子は張りきって食事の前にマウスピースを外し、自分でていねいに洗い、ごはんを食べ、すぐに歯を磨いてチューイーを噛んだ。
「ね、できるでしょ」と誇らしげ。
筆者も口では「すごいね!」と言ったものの、いやいや1日目だからでしょうよ、子どもってそういうものじゃんか、最初だけ張りきるじゃんか、と、心の中で考えていた。
そんな考えとは裏腹に、息子は毎日のルーティンを、めんどうくさがらず4カ月が経ったいまも続けている。
そのうえ、時間の使い方を意識するようになったのだ。
生活のなかに「すぐ歯磨きをする」という工程が入ったことで、宿題をやりたくなくてぐだぐだとマンガを読んだり、スマホを見ながらおやつやデザートを食べたりする時間がなくなり、その後の習い事の練習や、宿題、入浴、就寝――といった工程をスムーズにクリアするようになったのである。
子どもにとってめんどうなルーティンが増えただけかと思われたのに、好転しはじめたのはなぜか。
好循環は「小さな習慣」から
その理由を筆者は、『人生は「気分」が10割』で発見した。
豊かな日々を送るための106の習慣が紹介されている中で、こんなトピックがあったのだ。
「毎食後に歯磨きをする」
本書によると、「ゴロゴロしながら一日中スマホをいじっている」「やるべきことが山積みでも手を付けない」といった怠惰な習慣を毎日一週間、数カ月続けていると「すがすがしいほどのダメ人間になれる」とある。
ゴロゴロしているから休息になっているのかと思いきや、「まったく何もしていないのに、きちんと休んだ感覚も得られない」という。
たしかに、ゴロゴロしていても頭の中はずっと「あれをしなきゃ」「これをしなきゃ」が消えぬまま、時間だけが無為にすぎていくだけだから納得だ。
そんな生活から抜け出すために「ごくごく小さいことから着手することが効果的だ」と勧めるのが、毎食後の歯磨きなのだ。
これで「まずは今の悪しきルーティンを断ち切ることが先決」としているが、まさか息子が無意識に実践し、効果を見せてくれるとは思わなかった。
息子を信じなかった自分を恥じ、息子を見習って自分のダメ人間習慣を少しずつ好転させようと誓ったのだった。
(本稿は、『人生は「気分」が10割 最高の一日が一生続く106の習慣』の発売を記念したオリジナル記事です)
メーカー広報、出版社編集者を経て2012年よりフリーライターに。主に週刊誌やWEBメディアで取材記事やインタビュー記事を執筆。昨年より高田馬場の老舗バーにてお手伝い中。



