コミュニケーションが
双方にとってのプレッシャーに
これは何もミドルシニアの従業員に限らないことでもあり、それほどの期待に到達できないことは致し方ない側面もあるだろう。
ミドル社員の心境として「できればこれまで培ってきた領域で貢献したい」「新しいことにゼロから取り組むのは避けたい」ということがある。そんな中、業務の指示をしても「えっ、これ私がやるの?」「もっと若い人がやったほうがいいんじゃない?」といった反応になりやすい。組織として新しいことに取り組む際も「昔からずっとこうやってきた」「最近は面倒になった」などと発言する傾向も見て取れる。
こうした状況が続いてしまうと、年下上司にしてみれば、たとえ本人に悪気はなくても抵抗勢力に見えてしまう。結果として、年上部下が「面倒な人」となってしまい、コミュニケーションが双方にとってのプレッシャーとなってしまうのである。
逆にミドルシニア社員に率直な意見を聞くと、どのような発言があるのか。上司の心理状態は、当然、部下にも伝わる。年上部下からみると、年下上司を以下のように感じる傾向がある。
・面倒な部下だと思われているよな
・目標設定、評価の際の会話やフィードバックを聞くと、残念な気持ちになる
・上司が自分に遠慮していて、面と向かってはっきり言わないと感じる
・自分のことをそもそも気にかけてくれない
・業務上の期待もしてくれない
実際問題として、40代の管理職が50代や60代の部下に明確に業務上の指示ができるかというとそれは難しい。「この業務、よろしくお願いします」の一言で終わってしまい、任せているという名の放任になってしまう場合が多いと感じる。
上司としては年上部下に嫌な顔をされたくないので、遠慮して要望をほとんど口に出せず、目標設定も、評価やフィードバックもはっきり言わない。結果として、年上部下としては、自分はあまり期待されていないと感じてしまい、モチベーションも低下しがちになる。現場の声を聞いていると、そんな発言が非常に多い。
上司の立場になって冷静に考えれば、面倒な人だと思われても仕方がない側面もある。しかし、相手の立場に立って考えることは意外と難しいものだ。