上司が部下に気を使いすぎると
年上部下は卑屈な気持ちに…
年下上司が言葉を選んでいる様子を見ると「言いたいことがあるなら、むしろ正直に言ってほしい」「回りくどい言い方はやめてほしい」といった感覚が生じることもある。
当事者の本心としては、上司とのコミュニケーションをとった上で会社に一定の貢献をしたいという思いがあるにもかかわらず、放任されている中で周囲からの期待も感じることができない状況に陥ってしまう。また、主力のラインから外れたことを改めて自覚し、自分の存在価値を感じにくくなる。
本来であれば、これまでの仕事の重責から解放されているわけでもあり、上司と部下それぞれが心情を慮るだけでも、気持ちは楽になるはずであるが、なかなかそうはいかないのが現実である。上司が部下に過度に気を使い、部下も卑屈な感情を持っていると、ミスコミュニケーションも起こりやすくなる。
上司が何をお願いしていいのかわからず、その場しのぎで無難な指示をするだけであれば、それは部下にも伝わる。本当に期待していることがあるなら、それを具体的に伝えればいい。しかし、多忙な中間管理職にそこまで考えている余裕はないのも現実だろう。
あるいは部下のモチベーションアップを願って良かれと思って発した言葉が逆に作用し、部下のモチベーションをさらに下げてしまうこともあるだろう。年上ではあっても部下として、良かれと思ってちょっとした助言をすれば、年下上司も「ありがとうございます」と口にはするものの、内心では「面倒なことは言わないでほしい。そんなことはわかっています」と思ってしまう。
このようなやりとりが2度、3度と続くと、年上部下も伝えたいことがあっても飲み込んでしまうようになり、何も言わなくなる。年下上司もどのように接したらいいのかわからないので、会話はどんどん減っていく。そのため、自分が提出した企画書に赤字を入れられただけでも、年上部下としては複雑な思いを抱いてしまう。
このようなミスコミュニケーションは、現在の多くの職場で起こっている。
ポストオフに直面したときや定年前後のミドルシニアの心情を描写すると、次のようになるだろう。
・自分にはもう昇進・昇格のチャンスはないだろう
・自分より若い後輩が次々に管理職に昇進していく
・重要な仕事、新しい仕事は優先的に若手にチャンスが与えられる