資格の勉強、英語、プログラミング…。努力しているのに成果が出ない。そんな悩みを抱える人に知ってほしいのが「メタ学習」だ。『ULTRALEARNING 超・自習法』では、学習を始める前に「学び方を学ぶ」ことこそが成功のカギだと説く。事前に“学びの地図”を描ければ、無駄な努力を減らし、スキル習得のスピードを劇的に上げられる。本連載では、ウォール・ストリート・ジャーナル・ベストセラーにもなった本書の「学習メソッド」を紹介していく。(構成:ダイヤモンド社書籍オンライン編集部)
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学びの効率を劇的に変える「メタ学習」とは
「メタ学習」とは、“学習について学習すること”を意味する。
つまり、何を学ぶかよりも先に、どう学ぶかを理解するステップだ。本書では次のように説明されている。
「メタ」という接頭語は、「~を超えて」を意味するギリシャ語の「μετά」に由来する。それは特に、何かがそれ自体を説明しているか、抽象化においてより上位の層を扱っていることを示している。今回の場合、メタ学習とは「学習について学習すること」を意味する。(『ULTRALEARNING 超・自習法』より)
「メタ学習」は、努力の方向を誤らないための地図である。
どんな分野でも、最初に“全体像”をつかんでおくことで、間違った教材選びや時間の浪費を防げる。
著者は「地図を描かずに旅に出る人はいない」と述べ、学習でも同じ準備が必要だと強調している。
メタ学習の地図が持つ力
メタ学習の「地図」とは、学びたい分野の全体像をつかむための設計図のようなものだ。
どんなテーマでも、まず「どんな知識やスキルが必要なのか」「どんな順番で学ぶと身につくのか」を整理しておくと、迷わずに前へ進める。
たとえば、新しくプログラミングを学ぶときに「まず文法から」と思い込んでしまう人は多い。しかし本書では、“地図を描くこと”が成功への第一歩だと説く。
文法の前に、何を作りたいのかを決め、そのために必要な知識やスキルを一覧にしておくことで、最短ルートが見えてくるのだ。
ある知識がどのように機能するのか、どのようなスキルと情報を習得する必要があるのか、どのような方法を使用すればより効果的に習得できるかを理解することが、すべてのウルトラ・ラーニング・プロジェクトの成功のカギとなる。(『ULTRALEARNING 超・自習法』より)
全体の関係をつかめば、どこに時間をかけ、どこを飛ばしてよいかも判断できる。やみくもに努力するより、戦略的に学べるようになるのだ。
本書の考え方を参考にすれば、「とにかく頑張る」学習から、「どうすれば最短で成果を出せるか」を考える学習へとシフトできる。
地図を持つ人こそ、努力の方向を間違えない学習者なのである。
「メタ学習準備」と「スキルのストック化」で成長を加速させる
本書では、メタ学習の実践法を2つ紹介している。1つ目が「メタ学習準備」だ。
これは、学習を始める前に「なぜ」「何を」「どうやって」を整理する工程である。
この問題を回避するには、先に準備を行う必要がある。学習を始める前に、学習するトピックが望むような効果をもたらすかを判断するのである。(『ULTRALEARNING 超・自習法』より)
「なぜ学ぶのか」を明確にすれば目的が定まり、「何を学ぶか」を分析すれば優先順位が見える。
さらに「どうやって学ぶか」を検討すれば、最適な教材や環境を選べる。つまり、メタ学習準備は「学びの地図」を描く作業そのものなのだ。
2つ目が「メタ学習スキルのストックを増やす」こと。これは、学習経験そのものを再利用できるようにする考え方である。
学習プロジェクトを経験するたびに、あなたの全体的なメタ学習スキルが向上する。どのプロジェクトにも、そこから新しい学習法や資源の収集方法、より良い時間管理術、そしてより良いモチベーションの管理方法を学ぶチャンスがある。(『ULTRALEARNING 超・自習法』より)
本書の考え方を参考にすると、「学習そのものをスキル化する」ことが、最強の学び方だとわかる。
社会人として成長を続ける人は、学ぶ内容よりも「学び方の改善」に時間を投資しているのである。





