イスラエルとイスラム組織ハマスが8日、パレスチナ自治区ガザの和平案の「第1段階」で合意したことは、中東に新たに大きな機会をもたらした。合意が持続すれば、ドナルド・トランプ米大統領の外交政策を象徴する成果となる。今は、合意がついに実現した経緯を巡る教訓を考える機会でもある。ハマスが13日までに合意をほごにしなければ、人質としてガザに捕らえられている生存中のイスラエル人20人が全員解放される。解放は、イスラエル軍のガザからの小規模な撤退後72時間以内に実現する見込みだ。合意を受けて戦闘は停止し、ガザの民間人への援助は拡大される。注目すべきは、ハマスが最大の切り札を手放す一方、イスラエル側はそうしていないことだ。人質が交換条件の下で解放された後でさえ、イスラエル軍は兵器の密輸を阻止するため、エジプトとの境界付近にとどまり、それを含むガザの半分以上の区域に展開し続ける。