現代社会への応用
リーダーシップの「橋渡し」
ガンディーの偉大さは、「遠い理想」と「身近な現実」を結びつける、まさに「橋渡し」の能力にありました。現代のビジネスや社会運動においても、この力は不可欠です。
例えば、企業の掲げる壮大なビジョン(遠い理想)も、「誰もが使う塩」に相当する、日々の業務や身近な製品(身近な現実)と結びつかなければ、社員の心には響きません。
壮大な目標を、「私の一日の仕事が、この大きな目標にどう繋がるか」と誰もが理解できるレベルまで落とし込むことが、現代のリーダーシップが果たすべき重要な「翻訳」作業です。
分断を超える「共感のアーキテクチャ」
また、「すべての人を包み込む姿勢」は、現代の多様性(ダイバーシティ)社会における最も重要な基盤です。
異なる意見や背景を持つ人々が共存する環境で、リーダーは特定の層を優遇するのではなく、すべての人が安全だと感じる「共感の空間(アーキテクチャ)」を設計する必要があります。
ガンディーがヒンドゥー教徒とイスラム教徒のどちらにも敬意を払ったように、現代のリーダーも、反対意見やマイノリティの声をも「国民的運動」の一部として受け入れる勇気ある包摂性を持つこと。これこそが、組織や社会を動かす真の求心力となるのです。
あなたの職場やコミュニティで、誰もが「これは自分のものだ」と感じられる「塩」と「共感の空間」は何でしょうか。その問いこそが、変革の第一歩です。
※本稿は『リーダーは世界史に学べ』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。















