「でももうずっといっしょだと思います」
その頃、松江では司之介(岡部たかし)が東京に行こうとしていた。司之介が東京に行くということは大事なお金をさらに使ってしまう気なのか。なんだかもったいない。
勘右衛門は養子をもらうしかないと諦めムード。もしかして、トキが帰ってこなくても仕方ないと思っていたのだろうか。刀や兜を売ったお金の無駄遣いだと思ったのは早計だったかもしれない。勘右衛門はいまのところ何を考えているのかわかりにくい人である。いわゆる朝ドラによく出てくる名ぜりふを語るような良きおじいちゃんというふうでもなく、武士だけどなんだか飄々(ひょうひょう)としている。
その晩の東京。銀二郎の部屋では錦織が勉強をしている。
「これしきのことで落ちたりはせん安心しろ」と言う錦織。大磐石だから。
しばらくトキもここにいていいと親切な錦織。彼も松江に妻を残しているから夫婦愛がわかるようだ。妻のためにも試験に受かって故郷に錦を飾るってことなのだろうか。
そして朝が来た。おトキが泊めてもらったお礼に朝ご飯を作っている。やっぱりしじみ汁? と思ったらあさり。トキ、はじめてのあさりの味噌汁。
久しぶりのトキの朝ごはんを楽しみだなあとデレる銀二郎。ラブラブムードに錦織が席を外そうとする。
トキ「すいませんいらしたんですね」
錦織「いたよずっと」
これは、銀二郎がトキの出生の秘密を聞いてしまったときのシチュエーションと同じ。狭い日本の住環境。ご苦労、お察し申し上げます。
みんなで朝ごはん。銀二郎は「あー」とやっている。これを見ると松野家の人になっているなあと思う。
こんないいお嫁さんから逃げてはいけないと言う根岸を「根岸シャラップ」と錦織がたしなめる。根岸は一言多いキャラ。
「でももうずっといっしょだと思います」と銀二郎が思わせぶりに言う。
トキ「え」
根岸・若宮「へ〜〜」
「おいしいなあ」と根岸はここではあえて話題をそらす。
ドキドキするトキの表情でつづく。5人の間合いの妙で見せた、良きコントシーン。俳優たちだけでこれができると、蛇と蛙は要らなくなってしまう。根岸と若宮が蛇と蛙の代わりになっている。
