「英国式ブレックファースト」って何かね?見知らぬ朝食がトキ(高石あかり)の“望郷の念”を募らせた〈ばけばけ第20回〉

根岸特製「英国式ブレックファースト」

 根岸はとぼけているが、帝大生なので、物の道理はわかっているし、難しいことがわからない人に寄り添った建設的なアイデアを出していると思うのだが、ただお調子者なので、錦織に「シャラップ」とたしなめられてしまう。

 その明日の朝。トキが目を覚ますと、銀二郎(寛一郎)が横で寝ている。楽しかった数日のことを思い出す。
このまま、トキは東京に残り、銀二郎と共に西洋文化に慣れていくのだろうか。

 松江では、トキのことを諦めはじめていて、司之介(岡部たかし)はトキのかわりにフミ(池脇千鶴)の手伝いをはじめた。「わしもおじょになる」と勘右衛門(小日向文世)まで。
 トキの描いた絵を見て笑う3人。「変わった子じゃったのう」と見上げるのは、壁に飾られたトキの妖怪コレクション。絵やお面がかかっている。妖怪双六(すごろく)みたいなものも美術スタッフが描いて貼ってあるそうだ。トキはかなりの妖怪、怪談好きなのである。

 東京では、根岸特製「英国式ブレックファースト」の支度ができていた。鍋に卵とベーコン。パンだけではないと皆のテンションがあがる。
 またしても、ふたりの合格を祈念し、その前途を祝しての乾杯。今朝は牛乳で乾杯。
 飲んだら口元に白ひげがつき、そこに風鈴が鳴る。
 込み上げてくるトキ。それを抑えようとするが、抑えきれない。この表情が絶品な高石あかり。

「私、松江に帰ります」

 過去の日本を忘れさせようと思っての洋食だったが、逆に、松江での楽しかった日々を呼び起こしてしまった。そういう意味では根岸はやっぱり余計なことをしてしまう人なのかもしれない。錦織の怪談否定も、トキの気持ちに火をつけてしまったともいえるだろう。

 誰も悪くないから、つらい。
 ここで最も不幸なのは銀二郎である。