2年連続で1位に輝いた函館市
北海道ブランドは細分化へ

 2025年の市区町村ランキングは、1位は函館市(52.8点)、2位は札幌市(51.8点)、3位が京都市(49.6点)となり、2年連続で函館市が1位に輝いた。順位自体に大きな変動はなかったが、いずれも前年より点数を下げた。

 ブランド総合研究所の田中章雄社長は、「函館の街の魅力は、五稜郭や函館山などの景観、寿司やイカなどの食、赤レンガ倉庫などの街並みなど、魅力がコンパクトにまとまっている点。それに加え、アーティストのGLAYが函館をレコーディング等の音楽活動の拠点としていることで、音楽の街のイメージも高まっている。

 こうした魅力にインバウンドも急増しており、函館駅前の再開発やホテル整備などの観光基盤は整いつつあるが、日没前後の函館山の混雑などオーバーツーリズムが問題となっていることが、国内観光客にとってマイナスになっている。

 実は、これは函館市だけではなく、札幌市や京都市など、上位常連の都市の点数がことごとく下がるという傾向につながっている」と話す。

 また、「北海道」「札幌」「函館」という誰もが知っている地名の魅力度が低下している一方で、あまり知られていない地域で魅力度が急上昇しているケースが多いのも今回の特徴だ。

「特に40代以上では、すでに北海道を訪れた経験がある人が多い。だから『北海道に行きたい』『札幌に行きたい』と思う人が少なくなり、『富良野に行きたい』『ニセコに行きたい』というように具体的な地名を挙げるようになっている」と田中社長。

 実際に、南富良野町が前年112位(22.8点)から26位(33.4点)、美瑛町が61位(27.0点)から31位(32.3点)に大きく浮上した。「富良野で自然を楽しみたい」「美瑛の丘陵風景を見に行きたい」といった目的型の旅行需要が、評価を押し上げたと考えられる。