“体験型観光”が後押し
自然豊かな地域が大幅ランクアップ

 地方都市の評価が上昇した背景には、「自然体験」や「伝統文化」といった地域独自の魅力が、再び注目を集めていることにある。

 岐阜県飛騨市は前年の58位(27.7点)から33位(31.0点)へと25ランク上昇し、古い街並みや飛騨古川の伝統産業、奥飛騨温泉郷といった多彩な観光資源が改めて評価された。

 大規模開発がなくとも、観光庁や岐阜県の取り組みと相まって、「地域に根差した体験」への評価が高まり、観光客の支持を広げている。「北海道や京都のような定番地だけでなく、飛騨市のように地域らしさを体験できる場所が注目を集めている」と、田中社長は分析する。

 また、大分県由布市も前年57位(27.9点)から33位(31.0点)へと24ランク上昇した。湯布院温泉は全国的に知名度が高いが、外国人宿泊者数が過去最高を更新し、温泉街は再び賑わいを見せている。温泉は癒やしの場にとどまらず、食や文化を楽しむ場として若い世代にも支持され、地方温泉地の新しい可能性を示した。

 今回のランキングでは、福岡市のようにインバウンド需要を背景に、安定した人気を保つ大都市がある一方で、飛騨市や由布市のように自然や伝統文化を強みに評価を伸ばす地方都市も目立った。

 田中社長が「魅力度は時代の関心に応じて流動する」と語るように、今年の結果は、都市と地方それぞれの個性が共存しながら評価される時代を映し出している。

(フリーライター 西嶋治美)