聖地観光が再び脚光
伝統的な祭事で順位を上げる

 注目は、三重県伊勢市と島根県出雲市の大幅な上昇だ。伊勢市は前年23位(35.9点)から13位(38.7点)、出雲市は前年44位(30.6点)から20位(36.2点)に順位を上げた。

 伊勢神宮では、2033年の「式年遷宮」に向けた準備行事が始まっており、今年は伐採作業の安全を祈願する「御船代祭」が行われるなど、関連儀式がすでに始動している。

 田中社長は、「伊勢神宮では20年に一度、社殿を新しく建て替える『式年遷宮』という神宮最大の行事が行われる。その節目の年は特に注目を集めやすく、皇族の参拝や奉告行事が重なることで、全国的な関心が一層高まる傾向にある。こうした要素を背景に、今後も順位を伸ばしていく可能性があるだろう」と推測する。

 出雲大社では、旧暦10月の神迎祭や神在祭をはじめ、神々を迎える行事が毎年行われている。縁結びの神事として全国的に知られ、伝統的な祭礼が地域の魅力を高めている。

福岡市がトップ10入り
インバウンド需要が支える都市観光

 次いで、前年の18位(41.0点)から躍進して9位(41.4点)にランクインした福岡市は、インバウンド需要の力強い回復が際立った。2025年4月には、延べ宿泊者数が過去最高を記録し、前年同月比の17.7%増、外国人宿泊者は25.0%増と大幅に伸びている(FCVB観光データ)。

 外国人観光客の観光消費のインパクトも拡大。さらに福岡市は、短期滞在型観光に加えて、「デジタルノマド」や長期滞在者向けのプログラムに力を入れており、食や都市機能、滞在型観光を融合した新しい魅力を打ち出している。

「インバウンドはオーバーツーリズムというマイナス面が取り上げられることも少なくないが、『外国人から評価が高まっている』というニュースが注目され、観光地のにぎわいや、地域経済の活性化という恩恵を受けている地域も少なくない。要は、いかにインバウンドの受け入れができるかがポイントだ」と田中社長は見解する。