また、くも膜下出血発症につながる脳動脈瘤はMRI(磁気共鳴画像)の検査で、腹部大動脈瘤は人間ドックに含まれる腹部エコー(超音波)検査で診断できます。

高度大動脈石灰化腹部エコーでわかる腹部大動脈の硬化(矢印部分) 資料提供=東丸貴信医師

 しかし、これらは各部位バラバラに検査を受けなければならず、全身の血管の状態をチェックできるわけではありません。

50代になったら受けてほしい
循環器ドック

 そこで私が50代になったら一度は受けてほしいと考えるのが「循環器ドック」です。

 医療機関によって異なりますが、頸動脈エコー検査や血圧脈波検査、心臓エコー検査、運動負荷心電図、血液検査などが含まれ、費用は2万~6万円程度。循環器ドックでは「大動脈瘤」の診断には限界があるのですが、動脈硬化の進行や血管の詰まり具合、血栓の有無が確認でき、狭心症や心筋梗塞、末梢動脈の病気などがわかります。

 動脈は、外膜、中膜、内膜の3層で構成され、このうち内膜と中膜を合わせた厚さ(内膜中膜複合体肥厚度/IMT)を「頸動脈エコー」で測ると、動脈硬化が進行しているかどうかを知ることができ、これが全身の血管と強い関連性があることが認められています。

 年とともに肌にシワが増えるように、血管も徐々に弾力を失い老化します。次第に硬く、古いホースのようにもろくなり、血管の内腔が狭くなる(動脈硬化)が進むのはある程度は仕方ありません。けれども、それが年相応かどうかを調べることが大切なのです。血管の硬さをみる「血圧脈波検査」では、いわゆる血管年齢がわかります。

 冒頭述べたように、年齢が上がるほど動脈硬化の進行スピードが速くなりますから、やはり50代になったら一度は心臓や血管の状態を調べてほしいと思います。ここで異常があれば、より精密な検査、そして診察でフォローしていけば心血管病による突然死を防げるでしょう。