利回り5%!Jリートが今、投資家から熱視線を浴びるワケ【投資信託の最前線】

2025年に入り、不動産に投資するJリートの価格が急回復している。2025年8月末時点の東証REIT指数は年初来で+16.0%を記録。しかも、価格も上昇しているうえに、分配金利回りも約5%と魅力的な水準だ。それに伴い、Jリートに投資する投資信託にも資金が流入している。なぜ今、Jリートが投資家から見直されているのか、その理由をひも解いていく。

4月までの株式市場が低迷する相場でJリートは反発
分散投資の目的で見直される動きに

 2025年に入って国内リート(Jリート)の成績が急回復しています。8月末時点の東証REIT指数は1918ポイントまで上昇し、年初来の上昇率は+16.0%に達しました。9月に入ってからも引き続き堅調に推移しています。

 とりわけ、世界的に株式相場が低迷していた2025年4月ごろでも、Jリートは反発しており、資産の分散という意味でも見直す動きが広がったようです。実際に、日本の投資信託市場においても、国内リート型投資信託の資金フローは改善しており、2025年2月に10カ月ぶりの資金流入に転じた後、5月以降は4カ月連続の資金流入となっています。

2025年に入り平均の分配金利回りは5%に迫る
投資先物件の賃料上昇への期待で買われる側面も

 Jリートの成績が好調である第1の要因として、インフレ環境下における資産価値上昇への期待が挙げられるでしょう。また、Jリートが保有する不動産においても、賃料引き上げが見込まれることから、分配金増加に対する観測も強まっているようです。

 もともと、Jリートは高い利回りが魅力の1つです。次のグラフでも明らかなように、東証REIT指数の分配金(配当)利回りは、2021年の3%台から、2025年に入って5%に迫る水準まで高まりました。為替リスクがない国内資産(円建て資産)としての高い利回りに加えて、その分配金の基となる賃料がさらに上昇していくのではないか、という期待感が、Jリートが買われている背景にあります。

国債利回りの上昇でJリートとの利回り差が縮小気味
他の資産クラスと比較して検討を

 一方で、上のグラフでは、Jリートの利回りの魅力が、相対的には低下しているという点もわかります。

 日本の10年国債利回りは、2021年まではほぼゼロ%でしたので、東証REIT指数の分配金利回りが3%台であれば、10年国債と東証REIT指数の利回り差も同じく3%台でした。しかし、足元で日本の国債利回りは大きく上昇しており、2025年8月末時点では1.6%に達しています。

 逆に、東証REIT指数の分配金利回りは、2025年に入って指数自体が大きく上昇したため、低下に転じています。つまり、国債とリート指数の利回り差は縮まっており、グラフの期間で見ると利回り差は最低水準になっている状況です。このような変化は意識しておく必要があるでしょう。

 このように、成績だけに注目するのではなく、買われている理由を理解するとともに、他の資産クラスとも比較しながら検討することが重要です。

藤原延介さん藤原延介(ふじわら・のぶゆき)●1998年三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入社後、2001年ロイター・ジャパン(リッパー・ジャパン)、2007年ドイチェ・アセット・マネジメント、2019年アムンディ・ジャパンを経て、2021年にBNPパリバ・アセットマネジメントに入社。マーケティング部 部長。ドイチェAMでは資産運用研究所長を務めるなど、約25年に渡り資産運用や投資信託に関するリサーチや投資啓蒙に従事。慶応大学経済学部卒。
◆投資信託の最前線
20年超にわたって投資信託動向を分析してきた藤原延介氏が、投資信託の最新動向やニュースを取り上げて、わかりやすく解説! 2024年から大幅拡大したNISAでは、投資信託での運用が不可欠に。でも「どうやって選べばいいの?」「組み合わせ方法は?」などわからない人も多いのでは? このコラムで投資信託の売れ筋やトレンドの変化をチェックすることで、投資信託の選び方や資産運用法などが見えてきます。
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