不安が不安を生む「悪循環」

不安になるというのは、「どうしていいのか分からない」状態、あるいは「決まっていない」状態です。しかし、明確な結論が出ないものについては、もうどちらかに決めて、決めたらそれで動くしかありません。

そこで「オロオロしない」ことが重要です。オロオロすることによって、また新たな不安が生まれ、何も進まなくなり、さらに不安になるという悪循環が生まれます。

また、オロオロしている人を見ると、周りの人も「オロオロしないでよ」「私はこっちが良いと思うよ」などと、つい口を出したくなってしまうものです。

しかし、不安な人はそうした意見を聞くと、また自分の方針に自信がなくなり、さらにオロオロしてしまったりします。そうして、どんどん不安を自ら作り出してしまうのです。

不安を減らす行動
「決めたら、まず実行する」

一度決めたことをコロコロ変えること、撤回することが不安の大きな原因になります。ですから、よく考えて決めたことであれば、もう「それで進もう」と覚悟を決めることが大切です。

とりあえず、それで進んでみて、もし何か問題が発生したら、その時に変えれば良いのです。

本当に「これをやらかしたら大変なことになる」というようなことであれば、それは最初から分かっているはずです。悩んでいるのは「分からないこと」だからであり、それは「やってみないと分からない」ことなのです。

それなのに「やっぱり撤回しようか」「どうしようか」と悩むのは、結局「決めていない」のと同じです。

決めていないから不安になり、他人の反応を見てさらに不安になり、うまくいかないとさらに不安になる。不安が不安を引き起こしているのです。これは、一度決めたことを「とりあえずやり遂げる」という覚悟を固めていないからです。

決断を変えても良い「例外」

もちろん、一度決めたら絶対に(思考停止して)変えてはいけない、ということではありません。決めた後で、さまざまな新たな情報が出てくることもあります。

「とんでもない事実が判明した」「状況を根本から変えるような、隠されていた事実が出てきた」といった明確な理由が出てきた場合は、もちろん決断を変えても構いません。

しかし、そうでもない限りは、最初に決めたことを実行して大丈夫です。決めた後に右往左往して不安になっている時間は、物事が進まないだけでなく、精神的にも良くありません。

世の中で一番良くないのは、「決めない」という状態を続けることです。何も決めなければ、物事は一歩も前に進まないからです。

ですから、「とりあえず決める。決めたらやる」。もうそこだけを淡々とやってみてください。そうすると、不安は少し減っていくはずです。

私自身の「優柔不断」な経験

不安な人というのは、たいていこの「決めたことを変えてしまう」という行動パターンに飲み込まれています。

「決めたら、とりあえずやる。そして、その反応を見てから次の行動を決める」――この淡々とした自分のリズムを作るだけで、不安定さはかなり減るのではないかと思います。

なぜこんなことを言うかというと、他ならぬ私自身がそうだからです。私も不安でいっぱいになる時は、やはり物事をコロコロ変える「優柔不断」な状態になっています。

そして、面白いことに、この「コロコロ変えた時」というのは、だいたい失敗するのです。「Aが良いか、Bが良いか」と悩んでAでやろうとしたのに、急に不安になってBに変えた時。そういう時は、だいたい「Aにしておけば良かった」と後悔することになるのです。

まとめ:決めたら変えない

不思議なことに、最初から決めた通りにやった場合は、多少の迷いがあったとしても「これで良かった」となることが多いのです。

というわけで、不安になりやすい人へのアドバイスは「決めたら変えない」ということです。ぜひ、これを徹底してみてください。そうするだけで、不安は少し減るはずです。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。