私は理詰めで物事を考えるタイプで、自分で納得できるまでロジックを構築する。人に「理論上はそうかもしれないけど、実際は皆こうしているよ」とか「こっちの方がいいと思うよ」と言われることもあるが、その根拠を聞いてみると、結局「誰々がそう言っていたから」というところに落ち着くことがほとんどだ。なので、どう考えても自分の理屈の方が筋が通っていると思うことは最後まで自分で徹底的に調べる。

市場調査の結果を無視したのに
成功したドミノ・ピザ

 新しくビジネスを始める際は、市場がどれくらいの規模で、どれくらい売上を見込めるのかといったマーケティング調査をするのが当たり前だが、その結果が必ずしも信頼できるというわけではない。マーケットがないところでも、成功する例もある。代表的なのが、宅配ピザであろう。

 今でこそホームパーティーなどでピザを注文してデリバリーしてもらうのが当たり前になっているが、もともとは日本にピザを自宅で食べたり、ホームパーティーをしたりする習慣はなかった。日本で最初に宅配ピザのサービスを始めたのはドミノ・ピザで、1985年のことである。

 当初はどのくらいニーズがあるかが未知数だったので、専門の市場調査会社に依頼してデータを取ったそうである。結果は、依頼した2社とも「日本ではホームパーティーをする習慣がなく、みんなで集まってピザを食べる文化もないためニーズが見込めない」というものであった。

 しかし、その結論を無視して事業を進めたところ、大きな成功を収めた。宅配ピザが生まれたことによって、日本にも少しずつホームパーティーの習慣が根付いたのである。

 さらに、「30分以内に届かなければ無料にします」というチラシを出しまくったことで、「それなら一度みんなで集まってピザを取ってみよう」という新たな消費シーンが生まれ、市場が形成されていった。

 みなさんもご存じの通り、今ではピザ業界は外食の一大勢力にまで成長している。