管理職の仕事の9割は「感情労働」である。じゃあ、どうするべきか。
次々と新たなビジネスを仕掛ける稀代の起業家、佐藤航陽氏。「これからどう生きるか?」を徹底的に考察した超・期待作『ゆるストイック』を上梓した。これからの生き方として重要なキーワードは、「ストイック」と「ゆるさ」。令和のヒーローたち(大谷翔平、井上尚弥、藤井聡太…)は、なぜストイックに自分に向き合い続けるのか。『ゆるストイック』では、「どのように日常を過ごしていくべきか」を言語化し、誰でもできるプロセスとしてみなさんに共有する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

管理職の仕事の9割は「感情労働」である。じゃあ、どうする?Photo: Adobe Stock

「感情労働」から身を守る

 サービス業や組織で働く人々は、しばしば「感情労働」に直面します

 これは、自分の感情を抑え、組織や顧客に合わせた態度を演じることを求められる労働です。
 感情労働は不可避な部分がありますが、過剰に抱え込むと心身に大きな負担をもたらします

 本記事では、感情労働から身を守る視点を考えます。

「感情労働」とは何か

 感情労働という概念は、社会学者アーリー・ホックシールドによって提唱されました。

 顧客に対して笑顔で接する、部下に安心感を与えるリーダーシップを発揮するなど、本心とは異なる感情を表に出すことが求められる労働です

 昨今の管理職は、ハラスメントへの注意や部下のメンタルケアが中心となり、感情労働が9割と言っても過言ではありません

 しかし、この「感情の管理」が慢性的に続くと、消耗や燃え尽きにつながってしまうのです。

「感情」と「役割」を切り分ける

 感情労働から身を守るためには、「本当の自分」と「役割上の自分」を切り分けることが重要です。

 職場での態度は、「役割を演じている」と認識すれば、無理に心から感情を一致させる必要はありません。

 演技と自己を分けることで、心理的負担を軽減できます

「回復の時間」を意識的に取る

 感情労働には回復のプロセスが欠かせません。

 業務後に一人になる時間を持つ、趣味や運動で心を解放する、信頼できる人と本音を共有するなど、意識的に「感情を戻す」時間を設けることが必要です。

 これにより感情の摩耗を防げます。

 感情労働は避けられない現実ですが、感情と役割を切り分け、回復の時間を意識的に取ることで負担を軽減できます。

 無理に感情を抑え込むのではなく、淡々と演じつつ、自分の心を守る工夫を積み重ねることが重要です。
 これもまた「ゆるストイック」の実践です。
 私たちもまた、感情労働に飲み込まれず、ゆるストイックに生きましょう。

佐藤航陽(さとう・かつあき)
株式会社スペースデータ 代表取締役社長
1986年、福島県生まれ。早稲田大学在学中の2007年にIT企業を設立し、代表取締役に就任。ビッグデータ解析やオンライン決済の事業を立ち上げ、世界8ヵ国に展開する。2015年に20代で東証マザーズに上場。その後、2017年に宇宙開発を目的に株式会社スペースデータを創業。コロナ禍前にSNSから姿を消し、仮想現実と宇宙開発の専門家になる。今は、宇宙ステーションやロボット開発に携わり、JAXAや国連と協働している。米経済誌「Forbes」の30歳未満のアジアを代表する30人(Forbes 30 Under 30 Asia)に選出される。最新刊『ゆるストイック』(ダイヤモンド社)は8.5万部を突破した。
また、新しくYouTubeチャンネル「佐藤航陽の宇宙会議」https://youtube.com/@ka2aki86 をスタートさせた。