「中間管理職の悩みが消えた」
「ハラスメントに配慮して働けるようになった」
そんな感想が届いているのが、安藤広大氏の著書『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』『パーフェクトな意思決定』シリーズ四部作だ。これまで4500社以上の導入実績があるマネジメント法「識学」をもとに、ビジネスの現場で「数字に強くなれる」「仕組みで解決できる」という思考法を授ける本シリーズは、さまざまな企業・業界・個人から圧倒的な支持を集めている。この連載では、全ビジネスパーソンに必須の「リーダーシップ」のあり方について指南する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
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鳴り物入りで転職してくる人
採用側も本人も、大きな期待を背負って入社してくる「鳴り物入りの転職者」。
肩書も実績も立派。面接でも論理的に語り、経験豊富に見える……。
それなのに、いざ入ってみると現場はこう思うのです。
「あれ? なんか思ったより動けないな……」
このギャップはなぜ起きるのでしょうか。
そして、なぜ「40歳以上の転職者」によく見られる現象なのでしょうか。
「語れる経験」と「実行できる能力」は別物
まず、多くの転職者は面接で「自分の成功体験」を堂々と語ります。
しかし、その成功が「当時の環境や部下、上司、会社の仕組みに支えられていたもの」であるケースは少なくありません。
つまり、本人のスキルというよりは、周囲の環境との相乗効果で成果が出ていたパターンです。
その実態を見抜かずに採用すると、新天地ではまったく通用しないという事態に陥るのです。
「前職の武勇伝」ばかり語る人は危ない
入社直後から「うちの前の会社ではこうだった」と語り始める人がいます。
このタイプは「適応力」が極端に低い傾向があります。
現場が求めているのは、今の会社の課題に合わせた行動や改善提案です。
それにもかかわらず、「前のやり方」を押しつけ、「前の会社の自分」と比較してばかり。
その時点で、周囲の信頼は一気に冷めてしまいます。
「相談せず、黙って観察」しているうちに孤立する
40歳を超えると、「わからないことがあっても今さら聞けない」という心理が強まります。
特に転職者は、「できる人」として扱われるがゆえに、弱みを見せられず、黙って様子をうかがう時間が長くなりがちです。
結果的に、社内のキーパーソンや関係性を把握しないまま浮いた存在になり、動くタイミングを失ってしまうのです。
「自分の強みを出す前に、会社の空気に馴染む」
本当に成果を出す転職者は、まず「空気を読む」ことに徹します。
前の会社のやり方は一旦脇に置き、新しい職場の文化、意思決定の流れ、人間関係を把握する。
その上で、自分の強みを「補完的」に使おうとします。
これは、年齢を問わず「できる人」に共通する姿勢です。
40歳を超えても、柔軟に動ける人は現場で評価されます。
転職時に問われるのは「再現性」と「柔軟性」
鳴り物入りで転職してくる人ほど、「過去の成功の再演」を期待され、自分でもそれを信じています。
しかし、職場が変われば、やり方も関係性も一新されるのが当然。
その現実に対応できるかどうかが、40歳以上の転職者にとって最大の試練です。
自分の実績にすがらず、環境に合わせて価値を再構築できる人が、本当に強い。
リーダーは仮面をかぶりましょう。
自信や過去の実績を一度隠し、ゼロから信頼を築く覚悟が、新天地での第一歩です。
(本稿は、『リーダーの仮面』の著者・安藤広大氏が書き下ろしたものです)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学を卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングス、ジェイコム取締役営業副本部長を経験。プレイングマネジャーとして「成長しないチームの問題」に直面し悩んでいたときに「識学」に出合い、2013年に独立。多くの企業の業績アップに貢献した。2015年、株式会社識学を設立。わずか4年足らずで上場を果たし、これまで9年間で約4500社に識学メソッドが導入されている。著書にシリーズ累計178万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』(ダイヤモンド社)がある。『パーフェクトな意思決定』はシリーズ最新刊。










