ポルシェのBEVは
サーキットでこそ実力を発揮
ヴァイザッハパッケージのほうが試乗車より0→100km/h加速は0.1秒速く、最高速度は15km/h上回っている。
それはともかく、ターボGTの最高出力は1034psに達する。最近は最大トルクが4桁のクルマが増えてきたが、こちらはパワーも4桁である。最大トルクは1340Nmで、0→100km/h加速は2.3秒、最高速度は290km/hに達する。それでいて最大航続距離555kmは立派だ。
といったウルトラスーパーなクルマを岡山国際サーキットで走らせた。2周弱だが1周にストレートが2本あるので、免許がなくなる心配なくアクセルを踏める機会が3回あった。
で、その加速は文字どおりのウルトラ級。アクセルオンで体がシートに明確に押し付けられる。BEVの特性を最大限に活かした遠慮のない味付けだ。景色が流れるサマは、まさにワープ状態。と同時に、コーナー手前ではブレーキパフォーマンスの高さに驚いた。標準装備のセラミックブレーキは強力で、グイッとローターを力強く掴みパワーを抑え込む。
かつて「ポルシェはブレーキ」とよくいわれていたが、それを思い出した瞬間だ。
このブレーキシステムはこれまでのポルシェセラミックコンポジットブレーキを最適化したもの。ディスクチャンバーとキャリパーハウジングを再設計し、2kg以上軽くしている。よって、それがバネ下の軽量化に繋がり、ブレーキング後のハンドリングにいい影響を与えているのも注目だ。
この手のクルマは強烈な加減速に気を取られがちだが、ハンドリングもしっかり躾けられているのがミソだ。
ほんの数分の試乗だったが、タイカンターボGTの基本性能が少しわかった気がした。このクルマにはポルシェが培ってきたモータースポーツのノウハウがふんだんに注ぎ込まれている。ポルシェのBEVはサーキットでこそ実力を発揮するのかもしれない。
(CAR and DRIVER編集部 報告/九島辰也 写真/PORSCHE)