実業家の前澤友作氏のXでの投稿に多数の賛否のコメントが寄せられている Photo:JIJI実業家の前澤友作氏のXでの投稿に多数の賛否のコメントが寄せられている Photo:JIJI

「日本人だけで豊かな国を」――。前澤友作氏のこの主張は「排外主義」か? 深刻な人手不足を背景に増え続ける外国人労働者。しかし、「労働力の輸入」とも言える現状に“気持ち悪さ”を感じる人も少なくない。この問題の根源には100年以上前から続く日本の「悪癖」と根深い構造があった。(ノンフィクションライター 窪田順生)

人手不足だから外国人労働者
「奴隷的で僕は嫌」

「日本人だけで、賢く、効率よく、スマートで洗練された、豊かで綺麗な国を目指したい。量より質の国へ」ーー。

 衣料品流通サイト大手「ZOZO」創業者で実業家・前澤友作氏によるそんな投稿が注目を集めている。

 前澤氏の投稿は「本当に、移民を受け入れてまで『経済規模』を維持する必要がありますか?」という問いかけから始まって、「労働力が減って、GDPの総量が減っても、一人あたりのGDPが伸ばせれば、一人ひとりの幸福度やQOLは上がるはず」という考えを述べたのだ。これに対して一部ユーザーから「排外主義」と指摘された前澤氏はこんな風に反論した。

「僕が言っているのは、例えば、4人家族の家があって、掃除も洗濯も自分たちでできるかもしれないのに、外国人のお手伝いさんを連れて来て実習生ということにして超低賃金で働かせることが家族にとって、もっといえば日本にとって本当に良いことなのかどうかを考えたい、と言ってます」

「そもそも国全体が、人手が足りないからって、賃金を最小限に抑えられる外国人労働者に頼っちゃった方が都合が良いよねって考えてる自体が気持ち悪いです。自分たちの努力や工夫でやれないのか? 非生産的な産業を一時的に抑制してでも、労働人口の構造を特定分野に振り向けられないか?〇〇人は安いから大量に採用だ! っていうのがなんか奴隷的で僕は嫌なんです」(原文ママ)

 いろいろな意見があるだろうが、筆者からは、前澤氏の主張が「排外主義」とは思えない。それどころか「反論」に関しては共感できる部分が多々ある。著名人に便乗しているようで恐縮だが、これは筆者が本連載のなかで、2018年に安倍政権での「外国人労働者の受け入れ拡大」という国策を推進してから、以下のように繰り返し訴え続けていることだからだ。

・安倍政権の「移民政策」、実現なら日本の若者の賃金は上がらない(2018年10月25日)
・外国人労働者の「輸入」が日本社会に100年の禍根を残す理由(2018年11月8日)
・外国人材法案はブラック業界を助長し日本に新たな人権問題を生む(2018年12月6日)
・「消えた留学生」問題は必然、安倍政権が生む「外国人労働者大量逃亡時代」(2019年3月21日)

 キリがないのでこの辺でやめておくが、7年前になぜ筆者がここまでストーカーのように執拗(しつよう)に「外国人労働者拡大」に反対し続けていたのかというと、「歴史の教訓」だ。