なぜ「自分を大きく見せる人」は必ず大問題を起こすのか?
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【精神科医が解説】「ウチにもいる…」“話を盛る人”と信頼される人の決定的な違いPhoto: Adobe Stock

気をつけたほうがいい人

今日のテーマは「気をつけたほうがいい人」です。世の中には関わる際に気をつけなければいけないタイプがいろいろといますが、今日取り上げるのはその一つ、「自分を大きく見せたい人」です。

これは、かなり要注意かなと私は思います。

「ふかす人」の初期段階

あなたの周りにいないでしょうか? 自分が実際にできることを、少しでも良く見せようと思って「ふかす(話を盛る)人」。まるで自分がもの凄いことをしたかのように言う人です。

こういう人は、最初は些細なことを少し良く言ったり、いわゆる「サバを読む」に近いようなことをしたりする程度です。

レトリックの上達と実態との「乖離」

しかし、この「少しだけ良く言う」ことが、だんだん上手になってきます。レトリック(話術)が上達し、もっと上手に、すごいことをやったかのように見せかけるようになることもあります。

横文字をいっぱい使ったり、長々と話したりしますが、よく聞くと「結局そういうことですよね」という単純な話だったりします。それを、すごく長く、大きく「ふかして話す」傾向があるのです。

そうすると、そのレトリックから受ける印象と、実際の中身(実態)が「乖離」していきます。一つひとつに露骨な誇張や嘘がなかったとしても、トータルとして正直な印象を伝えていないわけですから、これはもう「嘘に等しい」と私は考えます。

やがて本物の「嘘」に変わる

そこまで行くと、本当の嘘が混ざってきます。言っていないこと、やっていないことまで言うようになります。いわゆる「詐称」をする人たちの一部が、これに該当するのかもしれません。

例えば、本当は大学を「中退」したのに、「卒業」したことにしてしまうケースが、少し前にどこかで問題になりました。これも、「ほぼ卒業だよね」というレトリックで、卒業したかのように見せかけるところから始まったのかもしれません。

そこまで来ると、そのレトリックと本当の嘘との差は、ほんのわずかになってきます。そして、「もう面倒くさいから、これは『卒業』ということにしておきましょう」と。これが「嘘」になるわけです。