なぜ「自分を大きく見せる人」は危険なのか?

ですから、「自分を大きく見せたい人」というのは、嘘を言う可能性が非常に高いのです。そのうち「嘘つき」になり、周りの人はだんだん騙されてしまいます。

そして、根本に「自分を大きく見せたい」という欲求がある限り、その人の実態は見えません。そのため、どこかで「この人に騙された」と思う時が来てしまいます。

こういう人は、「自分はすごい」と思われたいのです。すごいと思われたいから、「この件は私にお任せください」などと言いたくなり、大きなことをやろうとしがちです。自分のことを大きく見せながら大きなことをしようとし、その結果、嘘にもつながっていきます。

つまり、「自分を大きく見せようとする人」は、いつか必ず「大問題を起こす」ということです。

「大きく見せない」ほうがうまくいく

ですから、自分のことを大きく見せようとする人には、本当に要注意です。そして同時に、皆さん自身も振り返ってみて、自分のことを大きく見せようとしないほうが良いと思います。

それが「誠実」さであり、周りからの「信頼度」を上げるコツでもあります。

「自己顕示欲」と「自己承認欲求」

ここでちょっと視点を変えて、「自己顕示欲」や「自己承認欲求」の話をします。これらがあると、当然、自分を大きく見せたくなります。しかし、自己顕示欲や自己承認欲求があること自体が、イコール悪いわけではありません。

自己承認欲求や自己顕示欲が強くて、例えば「出たがり」で目立つことが好きだったとしても、「自分のことを大きく見せようとはしない」けれど「自分を売り出したい」という人。こういう人は、実はうまくいく可能性が高いのです。

好感を持たれやすく、逆にチャンス

なぜなら、世の中の自己顕示欲が強めの人、つまり外によく出てくる「出たがり」な人のほとんどは、「自分を大きく見せたい人」ばかりだからです。みんなその雰囲気に慣れていて、「またこの手合いか」「なんだか胡散臭いな」と思っています。

その中で、飾らず、嘘をつかず、でも「出たがり」な人が出てくると、面白く映ります。「こういう人たちの中にいるのに、この人は正直だな」と思われ、好感を持たれやすいのです。これは逆にチャンスだと私は思います。

少し余談になりましたが、簡単に言うと、「自分を大きく見せたがる人」は要注意であり、それは最終的に誰の得にもなりませんよ、ということです。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。