「お金のこと、周りの人より苦手かも……」。そう思ったこと、ありませんか?
この連載では、年間100世帯以上の相談にのっている発達障害専門のFPで自身もADHD当事者である『発達障害かもだけど、お金のこと ちゃんとしたい人の本』の著者・岩切健一郎氏が、お金について解説します。読者からは、
「ここまで寄り添ってくれるお金の本は初めてだった!」
「お金に苦手感のある人は全員読んだ方がいい」
といった喜びの声が届いています。発達障害の人も、そうじゃない人にも役立つヒントが満載です。
※現在、正式な診断名は「発達障害」から「神経発達症」へ変更になっていますが、この連載では広く知られている「発達障害」という表現を用います。
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それ、ADHD TAXかもしれません
以前の記事でもお伝えしたADHD TAX。これはADHD特性由来の出費を指す海外でのスラングで、直訳するとADHD税。つまりADHDの特性が原因でかかってしまうコストのことです。
 様々なADHD TAXを経験してきた当事者として、そしてお金の相談を受けてきたFPとして、ADHD TAXを「7つの税金」に分類しています。
 今回は「衝動税」についてご紹介しましょう。
衝動税「いつの間にかポチってる」
「今すぐ欲しい!」という気持ちが勝ってしまう衝動買い。衝動が発生するたびに税金が課されているようなイメージです。
 ・ネットショッピングで夜中にポチる
 ・スーパーで目的外の商品を買う
 ・100均で「これ便利そう」と複数のアイテムをカゴに入れてしまう
小さい買い物であればまだいいのですが、金額の大きな衝動買いをしてしまう人も少なくありません。
私も衝動買いで、即日現金で50万円のベッドを購入しています。こうした衝動的な買い物は、一撃で資産に大ダメージを与えます。金額が大きくなくても日々の衝動買いが積もれば大きな金額になります。
特性とお金は、相性が悪い
それでは、なぜ衝動買いをしてしまうのでしょうか?
私に相談してくださる方でも、クレジットカードの使いすぎ、リボ払い、カードローン、身の丈に合っていない投資、ギャンブルをやめられないといった内容で相談に来られる人は特にお困りです。
本当は使ってはいけないお金に手を付けたり、クレジットカードで必要以上に買い物をしたりしてしまう。これは脳の仕組みが関係しています。
 発達特性のひとつとして、高揚感を覚える脳の部位が一般の人よりも弱いと言われています。
 この部位は「報酬系」と呼ばれ、ドーパミンという物質が関係しています。
 高揚感を覚えにくいということは、なんてことない日常生活では高揚感や刺激を感じにくいということ。だから非日常的な買い物やギャンブルに刺激を求めてしまうのです。
こういった脳の傾向からも、意思の力で衝動買いを抑えるための難しさは伝わるはずです。意思の力で克服するのは至難の業。私も非常に意思が弱い人間なので、意思に頼らない方法で、お金と上手に付き合うことをおすすめします。
まずは、衝動買いを繰り返す相手に対して、「衝動買いをやめなさい」「買い物禁止」と伝えることは、あまり意味がないことを知っておいてほしいと思います。
(本記事は、『発達障害かもだけど、お金のこと ちゃんとしたい人の本』から一部抜粋・編集したものです。)






