いきなり襲いかかられたように見えても、実際には体の中では着々と進んでいた――そんな老化現象を信じられないのです。

早く病院に行っていれば
治ったかもしれないのに

 背中が老化して歩行が不自由になると、活動量が減るので、肺炎などの感染症や、慢性呼吸不全にもつながります。もちろん生活習慣病のリスクも高まります。

 脊柱後弯が進むと、寿命も縮まります

 また、腰が大きく曲がってからの対策は、大きな手術がメインになります。高齢の患者さんが多いので、身体への負担は大きく、場合によっては手術すらできないこともあります。

「もっと早く来院してくれれば……」

 そう思った回数は数えきれません。

 これが軽症のうちに対応を始めてもらえると、老い出し体操(編集部注/著者が考案した体操。背中が丸まる要因となる、代償筋を重点的に強化する)など、負担の少ない方法で対策できます。

 私が勤めているのは大学病院なので、ほかの病院から紹介されてくる大手術が必要な重症患者さんが多いのですが、その一方で、軽症の場合は手術をせずに回復できた患者さんもたくさんいらっしゃいます

「背中の丸まりチェックシート」は、変化を知るひとつの目安になるでしょう。

 背中レベルが【イエロー】の段階であれば、代償筋を鍛えることで、まだまだ回復が見込めます。

 すべての病気にいえることですが、背中の老いに関しても、早期発見・早期対策が、もっとも効果的なのです。

回復をあきらめた瞬間
背中はますます衰える

 すでに腰の曲がっている人のなかには、回復をあきらめている人も多くいるようです。