信金担当者にアポを入れ、半ば強引に若い男と引き合わせ、連帯保証人を自分からH氏に変更する手続きを進めるよう念押しして別れたが、しばらくすると信金の担当者から打ち明けられた。
「保証人の変更に必要な親会社の決算書を求めても出してくれません」
『ルポ M&A仲介の罠』(藤田知也、朝日新聞出版)
さらに秋には、こう告げられた。
「L社の役員では、経営者保証の変更はできそうにありません」
理由を尋ねても教えてくれなかったが、L社やその関係者の信用性に問題があるのだろうと察しがついた。
気づけば、店舗や事務所の賃貸契約や店の機材のリース契約も、連帯保証人の切り替えがされず、自分が保証したままの状態になっていた。この状態で会社が倒産でもすれば、代わって債務を負うことになりかねない。これはいよいよピンチだと悟り、洋菓子店に残る男性幹部に連絡してみた。すると、会社の内情はさらに深刻な事態に陥っていた。







