温泉や登山、キャンプの
観光客が減る可能性
岩手県北上市の温泉施設で露天風呂を清掃していた従業員がクマに連れ去られた事件は記憶に新しい。地元の人の心理的なショックもさることながら、温泉の営業に関する被害も心配だ。この件にとどまらず、クマの出没が観光業を脅かす可能性は全く否定できない。地方では観光客向けのイベント・行事の中止を検討する動きもあるようだ。
山の天気サイト「てんきとくらす」が、登山者を対象に「クマと登山に関するアンケート」を行ったところ、登山者の約8割が「クマ出没増」に不安を感じ登山をためらう傾向にあるという。仕方がないことだろう。実際に一部の登山道は閉鎖され、クマ被害を未然に防ぐ動きもある。
クマ出没が多発する背景に、人口減少で里山が放置され、耕作放棄された場所が増えたことがあるそうだ。地方には廃墟となったホテルや旅館もあり、野生動物たちの巣窟となっていることも十分考えられる。
コロナ禍の潮流と似ている!?
「クマ恐怖の連鎖」に陥る危険性
コロナ禍で外出自粛を余儀なくされた私たちだが、今度はクマ出没による外出自粛に迫られている。ただでさえ少子高齢化、過疎化が進み苦境にある地方経済で、商業活動や労働活動に悪影響を及ぼしている。
さらに「クマ恐怖の連鎖」といっていいだろうか。恐怖が自粛を生み、生活の不安定化をもたらし、それが旅行者(訪日外国人、インバウンドも含む)の減少をもたらし、過疎化を進めてしまう可能性がある。
また、クマが商業施設に出没して駆除された場合も、心理的な不安は残って常連客も足が遠のいてしまうケースも考えられる。万全の対策をしても、SNSなどで風評被害を受けることもあるかもしれない。
登山だけではなく、キャンプやバーベキューといったアウトドアそのものが脅かされているといっても過言ではない。コロナ禍でのソーシャルディスタンスの関係からアウトドアが一大ブームとなって、高級なキャンプ=グランピングなんていうのも流行っているが、潮流が変わるかもしれない。







