いい声で話すために私が心がけていることは2つあります。

 1つは、「準備」です。早めに準備をして練習して、できるだけ自信をつけておくことで、準備不足から来る余分な緊張を防ぎます。

 2つ目は、自分で自分の「聞きやすい声」に慣れることです。

 世の中にはさまざまな声の人がいますが、誰でもある程度は「聞きやすい声」を出すことができると思います。

 地声がどうであるかにかかわらず、メンタルが落ち着いている声は聞き心地が良いですし、緊張していたり何かに恐怖していたり、気持ちが高ぶっているときの声はあまり心地よくありません。

 たとえば、同じ「こんにちは」でも、落ち着いた声でにこやかに言う「こんにちは」と、うわずった声で言う「こんにちは」、ドスの利いた声で言う「こんにちは」とでは、ずいぶん印象が違います。

 声というのは面白いもので、たとえ何気ない一言でもどんな声で伝えられるかによって、相手に対する敬意や優しい気遣いを表しているのか、それとも関心のなさや恐怖、敵意を表しているのかが如実に伝わります。

初対面の人と話すときは
穏やかな声をつくってみる

 そういった意味で、相手と交わす「第一声」はとても重要です。とくに、よく知らない人と話す前は、誰でも「この人はどんな人だろう?この人から私はどう見えているのだろうか?」と考え、多少なりとも緊張します。そんなときに穏やかな声で話しかけてもらえたら、緊張が解けて、コミュニケーションがスムーズになります。

 自分の声に自信がない人は、まず、自分の「一番良い声」を探すところから始めてはどうでしょうか。そのための手っ取り早い方法は、自分の声を録音して聞き返すことです。

 詩でも文章でも何でもいいので、できるだけ穏やかに朗読してみて、「このパートの声はいい」とか「ここの声は聞きづらい」などと分析してみるのも良いと思います。その上で、良いと思ったパートの自分の声を、自分で真似してみるのです。