話をする上でもっとも大切な心がけとは何だろうか?写真はイメージです Photo:PIXTA

どうすれば相手に伝わる説明ができるのか――。説明がうまい人は、言葉の選び方や話す順番を考えるよりも先に、聞き手がどんな人で、どんなニーズを持っているかを探る。聞き手に合わせて話すための "意外なコツ" とは何だろうか?※本稿は、川添 愛『「わかってもらう」ということ 他人と、そして自分とうまくやっていくための言葉の使い方』(KADOKAWA)の一部を抜粋・編集したものです。

相手が求めていることを
汲み取ってから説明しよう

 説明をするときには、まず目的を明確にするというのが重要です。その際、「自分が相手に説明をする目的は何か」ということだけでなく、「相手がこちらの説明を聞く目的は何か」、つまり相手のニーズを考慮する必要があります。

 たとえば、専門的な内容を説明するときも、いずれ専門家になろうと考えている相手に説明する場合と、「この分野にちょっと興味がある」「自分に役に立ちそうなことがあれば知りたい」と考えている相手に説明する場合とでは、説明の細かさ、正確さ、説明に要する時間が変わってきます。

 前者の場合は、学校で先生が生徒に向かって一定の期間、定期的に時間をとって教える必要がありますが、後者の場合は1時間程度の説明を1回から数回行えば十分かもしれません。短時間の講義や講演では、本格的な説明をするのは難しいものです。

 日常のちょっとした「説明」でも、相手の関心がどこにあるかを考えると伝わりやすさが違ってきます。

 たいていの人は、説明を聞くことによって、自分のものの見方や判断のしかたをより良いものにしようと考えています。